モンスターに変化出来る俺、新種の魔物と勘違いされ狩られそうになってます~俺は人間です!!!狩らないで!!~
蒼本栗谷
人間なんです狩らないで
「見つけた!!!」
「逃げるなあああ!!!」
「挟み撃ちしろーーー!! 絶対に倒すぞ!!!」
とてつもなく困っていた。
『俺は人間だーー!!!!』
人ならざる姿をしているコノハは大勢の人間から逃げていた。
人間だと主張する声は獣の声になっており言葉は届かない。
事の発端は三十分前までに遡る。
別世界とこの世界が時空の乱れで繋がってしまい、魔族と呼ばれる魔物がこぞって現世にやってきた。
魔物に応戦する自衛隊&警察。だが攻撃は通じず殺されていく。
人々は魔物に怯え隠れて生きていくしか選択肢がない――状態まで行った時、別世界の女神と名乗る者が人々に力を与えた。
ギフトと呼ばれる力は個人個人様々な種類の力があり、その力で魔物に抗って生きていた。
コノハもギフトを授かった一人だった。
だが、そのギフトが不味かった。
『別の生物に変化する事が出来る』
それがコノハの受難の始まりだった――。
『あ”あ”あ”あ”あ”!!!! もうっ、イヤッ!!! イヤッ!!! なんで俺の能力はこんなのなんだよお”お”お”お”お”!!!』
汚い嘆きをコノハは叫ぶ。悲しきかな、コノハの嘆きは周囲には獣の雄叫びにしか聞こえない。
コノハのギフトによって変化した姿は赤い色合いの体がライオン、背中から鷹のような羽が生えているキメラの姿だった。
人の原型は全くなし。魔物として見れば新種の生物。口から漏れる言葉はライオンの雄叫び。嘆く。叫ぶ。主張する。全ての言語は雄叫びに変換されコノハは詰んでいた。
最初コノハは人の姿に戻って「人間です!」と主張しようと思っていた――――人の姿に変化する魔物に出会うまでは。
――許すまじ魔物。許すまじ。
……という事がありコノハは必死に逃げ続ける羽目になっていた。見失ってから人に戻ろうと考えているが魔物としての姿は大きく、目につきやすい。逃げるだけでどすどすと音が鳴る程だった。
羽を使おうにもこの姿になるのは初めてで、使い方が分からなかった。空に逃げたとしても遠距離持ち、飛空持ちのギフト者に狩られる事は明確だった。
「やめろ!!」
コノハの耳に制止する声が聞こえた。同時に揉めている声と停止する足音にコノハは一先ずは安心した。分かってくれそうな人が来た――と安堵したのも束の間。
「絶対こいつ金になるから倒すんじゃなくて捕まえた方がいい!!」
『も”お”お”お”お”!!!! なんっっっでそうなるのかなぁあああ!!!?』
一難去ってまた一難。コノハは逃げ出した。
『ぜっったい、ぜっったいに、人間だって証明してやるうううう!!!』
コノハの受難は終わらない。誤解が溶ける日まで、終わる事はない――――。
モンスターに変化出来る俺、新種の魔物と勘違いされ狩られそうになってます~俺は人間です!!!狩らないで!!~ 蒼本栗谷 @aomoto_kuriya
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