第3章 面妖舞台裏

 女鳥やルミラ、その他腕利きの仲間を失った芸華会は、明らかにその作品の質を落としていた。一応、常連客が変わらず応援してくれるし、主演の他磨己は大車輪で頑張るし、彦也の舞踊やマリノとメリノの愛嬌が道行く人を惹きつけはするのだが。ヘレネこと女鳥がいた1、2年前を全盛期とすれば、その賑わいには遥かに及ばない。


 それでも自尊心の強い他磨己は、ルリ・キネに移動した面々、特に女鳥を惜しむことは決してしなかった。そして彼らの存在を忘れようとするかのように、前にも増して舞台に打ち込んだ。――とはいっても、やはりずっと一緒にやってきた仲間達を、全く気にかけないでいるのは無理だ。彼らの仕事ぶりが高評価を得ていると聞いてからは、尚更、他磨己の心にも変化が萌してきていた。


 ある夜、久々に喫茶「華」に顔を出すと、いつも座る席に雑誌が置き忘れてあった。


「ああ、それね。前のお客さんがもう読まないから捨てるんだって言っていたのだけど。そのまま忘れていっちゃったのね」

「ふーん」


 何気なく表に返してみると、よくある大衆雑誌である。何気なくばらばらとめくりながら、彼の目は無意識に「映画」「活動」の2文字を探していた。


 彼の芸の師匠は――ろくに大成しなかった人間だったが、理想だけは大きかった――、カツドウは邪道だ、本物の役者はカツドウなんか出るものじゃない、土の上で芝居をするべからず、などと彼に教え込んだものだ。浅草の舞台芸術に魅せられていた少年の彼は、素直にその言葉を信じた。そして、才能ある妹にも、当然のことのようにそう教えた。


 妹の卒業式の日。妹は、女学校を終えたらそのまま芸華会専属の女優になってくれるものと、信じ切っていた彼である。まさかカツドウに出たいとの言葉を聞くとは、夢にも思わなかった。ルミラを始め、他の誰がカツドウに出ても、妹だけは舞台に残ってくれるものと半ば安心していたのだ。なぜって、妹は、自分が手塩にかけて一端の女優に育て上げた大事な存在だったから。


 それが裏切られた――正確にいえば女鳥は、舞台と映画の両方をやりたいと言っていたので、半分は自分の望み通りであったが――、彼は目の前が真っ暗になりかけた。自分の信奉してきた尊い存在が、急速に俗世の塵に染まっていくのを、目の当たりにしたようだった。やり切れない憤怒が彼の全身を突き動かした。気づけば自分は妹を、美しい彼女を、力一杯握った拳で、殴りつけようとしていた……。


 あの時、ルミラに制止されて結局事なきを得たが、その後の自分の振る舞いはどうであったか。捨て台詞を吐いて、妹の泣きじゃくるのを背後に聞きながら、そのまま立ち去ったではないか! この冷酷な仕打ちを思い返す度、彼の心を苦い後悔が走り抜ける。


 ルリ・キネの撮影所に赴いて妹に会い、直接謝りたい。できることなら許しを請いたい。彼は何度、そう思ったか知れない。が、その度に、恐ろしくなって足がにぶる。何が恐ろしいのかは、自分でも名状し難いのだが、とにかく実行に移すのが億劫でたまらなかった。代わりに、その埋め合わせのように、映画に関する情報に反応するようになったのだ。


「……他磨己さんが、珍しいモン読んでいるわねえ」

「うわあっ!……なんだ、蛍子か。吃驚させやがって」


 ついボーッとして頁を繰るのも忘れている時に、ふいに後ろからずずいっと覗き込まれたら誰だって驚くだろう。椅子から飛び上がって、次いで息を切らせながらこちらを睨みつける彼に、げらげら笑っているのは萩江蛍子。現在の芸華会の(一応)看板女優である。


「何の記事? ああ、『花のゆくえ』ね」

「え?」


 我に返って開いていた頁を見やり、またぎょっとする。それは、つい今し方まで思いを馳せていた当の妹と、相手役の俳優が隣り合って微笑する写真だった。その下に『花のゆくえ』特集と記されてある。……頁をめくっていくと、他磨己の意に反して、女鳥よりも相手役の方が大きな扱いを受けている。内容の方も、批判等は一切なく、ただただ幸福そうな主役2人――勿論、女鳥と相手役の俳優――の印象にばかりスポットを当てている。これはそういう方向性の雑誌なのか、それとも「特別扱い」なのか?


 ルリ・キネきっての大作映画『花のゆくえ』の話題は、かつての仲間が関わっていることもあって、他磨己も色々と耳にしてきている。この頃はマリノやメリノ、彦也が喋っている噂を聞かされてきたおかげで、かなり事情に明るくなった。その知識に照らし合わせれば、『花のゆくえ』の世評は、良いものが大半だったが、悪いものもいくらかあったはずである(勿論、反省を促すという意味の真面目な批判だ)。しかしここ最近は、そのような叱咤激励の言葉は殆ど影を潜めて、甘い薄っぺらな褒め言葉ばかりを耳にしてはいなかったか。反省に反省を重ねたうえの完璧なものができたというわけでもないだろうに、と彼は密かにいぶかしんだ。その疑念は、例の相手役の俳優の露出が増えていくにつれて確信へと変わっていった。


 この男が、何か企んでいるに違いない……よれよれの雑誌を、眉を寄せたまま凝視していると、またも傍らの蛍子が口を挟む。


「他磨己さん、この写真がどうかしたの」

「いや、身内が載っているものでね、つい」

「身内って誰? まさかこの陣恭太郎」

「違うッ、隣にいる石川女鳥だ。妹だよ」

「ああそうだったの。よかった、陣の身内だったらどうしようと思ったわ。でもあんた、めんどりさんと全く似ていないんだもの、わかんないわよ」

「余計なお世話だ。……ところで、何で俺が陣恭太郎の身内なら困るのかい」


 蛍子は面白そうに笑いながら言う。


「だってこの人、業界じゃ落第生で通っていたもの。そんなのと繋がりがあったら、恥ずかしいじゃない」

「落第生だって?」

「ええ、そうよ。従姉が帝活の俳優養成所に行っているの。そこの同期生の1人が陣で、先生が匙を投げるほどの大根なんだってさ」


 思わず雑誌をめくり直す他磨己。しかし掲載されている文章はどれもこれも、かの俳優を期待の新星と崇め、その前途の有望さを称えるものばかり。……かねてから抱いていた彼の疑念と、蛍子の証言とがぴたりと合致した。


「クソッ! こんな奴が女鳥の相手役とは嘆かわしいにも程がある!」

「あんたが嘆いても、めんどりさんの方は割とこの人のこと気に入っているみたいだけど。少なくとも記事にはそう書いてあるわよ」


 ご丁寧にも、開いた頁の一部を指差してみせる。――『石川嬢は健気にもこの新人クンが経験の浅さゆえに戸惑いを見せると、手取り足取り優しく教えてやるのだという。その愛情に満ちた眼差しが、彼を心から慕う乙女の思いを現して余りある』云々……。


「有り得ねえ! デタラメだ!」


 読むなり他磨己は、そう叫ばずにはいられなかった。そんな時でも、蛍子は眉ひとつ動かさない。


「そりゃ、他磨己さん、これはただの記事ですもの。こういう記事なんてね、金さえ積めば都合の好いように書き換えてもらえるし、出資者に媚びへつらえばマズいことを書かずにおいてもらえるの。こんなの茶飯事なのよ」

「……つまり、これが真実とは限らないと?」

「だからさっきからそう言っているじゃないのよ。物分かりの悪い人ねえ。……とすると、まだあのことも知らないのでしょうね」

「あのこと?」


 蛍子は得意そうに、陣恭太郎が勇進日報社の社長令息だと暴露した。『勇進日報』といえば、今度の『花のゆくえ』の元になった記事を連載している。ルリ・キネで映画化するにあたり、何かしらの不可抗力が生じても不思議ではない。


 女鳥が心底からあの大根役者(蛍子の言によれば)に惚れているわけではなさそうなので、他磨己の怒りは少しばかり収まった。それとともに、新たな心配が生まれる。女鳥の周囲は、ルミラや栄介達がいるとしても、かなり危険に満ちたものといえるのではないか……。


 自分がルリ・キネに乗り込むことも考えたが、先程思案した件もあるうえに、昔から映画を馬鹿にし、村野女史をも邪険にしていた身からすると、限りなく実行不可能である。暫し考えあぐねて、彼はマリノとメリノを遣いにやることにした。彼女達が難しければ、彦也でもよい。要するに、ルリ・キネ移動組と喧嘩沙汰になっていなくて、女鳥と仲の良い者なら誰でも構わなかったのだ。


 ――かくて、記念すべき1度目のルリ・キネ訪問は、二つ返事で引き受けたマリノとメリノに託された。2人はマダム千代枝の気遣いで、手土産に「華」の焼き菓子を携えていくことになった。




 女鳥とルミラはルリ・キネに入って以来、同居するようになった。初めは女史の邸に居候し、人気が出てきてからは、本郷の住宅街へと移った。そこは小ぢんまりしているが瀟洒な洋館で、2人のほか女中と運転手が住むには十分な大きさ。加えて隣家とは少し離れたところに建つので、声楽やダンスの稽古をするのにも一々気兼ねしなくてよいのが大助かりだった。


 一日の仕事を終えて我が家に帰り、食事や入浴なんかを済ませて寝るまでに、少しだが空き時間ができる。そこを2人は、ファンレターを読み、整理する時間と定め、その通りに過ごした。女鳥は居間のテーブルの上に文箱を置いて、ルミラは長椅子に寝そべって周囲を手紙だらけにしながら……。そのうちに、「お茶が入りましたよオ」という、女中の駒子の声が紅茶の香りとともに流れてくる。また、「あー今日も一日平和だったなア」という、運転手兼用心棒の岡部のあっけらかんとした声が車庫の方から響いてくることもある。駒子は元々石川邸で、岡部は浅草で、それぞれ働いていたが、女鳥とルミラの独り立ちを聞くと間もなくこちらにやって来たのである。この夜のひととき、皆がそれぞれ幸福を感じているのが明らかで、面と向かって話し合わなくても、十分満ち足りた気持ちになれた。


 ファンレターは、女鳥には若い男女からのものが多かった。彼らがどう女鳥を呼んでいるかも、見ていくと中々面白い。「石川様」「女鳥様」「女鳥姉様」「めんどりさん」……何にせよ、自分の出演する映画が親しまれているのは嬉しいことである。そうして一つ一つ、読んでは大切に文箱にしまい、時々サインの依頼があればサイン入りブロマイドを送る準備もする。それらを繰り返していて、突如見慣れぬ文面のものが見出される。


『あなたの振る舞いは、日本女性らしからぬ破滅的なものです。同年代のお嬢さん方に悪影響を与えていることに、なぜお気づきにならないのでしょう。即刻、反省と見直しを求めます』


 差出人は「撫子婦人会一同」とある。――女鳥は怒るよりも呆れてしまった。この人達は、銀幕の私と素顔の私を混同しているのだわ。それにどうやら、女性の社会進出そのものに反感を抱いているみたいだわ。得てよいはずの権利に自ら目を瞑り、他人にもそれを強制するなんて……。――ひとまずこの手紙は気にしないことに決めて、文箱の底にしまい込み、次の封筒を切る。


『我を活界スタアにせよ。長年の舞台経験あり。どこでも紹介頼む』


 奇妙な手紙を立て続けに2通も見せられては、不気味さを感じずにはいられない。これには差出人の名も記されていないので、余計に不安が増す。一体どんな人が送ってきたのか、悪戯なのか本気なのか、本気ならそのうち名乗るつもりなのか。わからないことだらけの手紙を手に、彼女の目は、長椅子に寝そべるルミラの方へと向く。


 見せて、相談した方がいいのかしら?――女鳥の逡巡に気づかぬルミラは、その間も幾通もの手紙に目を通していく。


 と、ふいにルミラが顔を上げた。我知らずハッとする女鳥。しかしルミラは、彼女の悩みに気がついてそうしたのではなかった。


「あら、もうこんな時間。女鳥ちゃん、早く片付けて寝ましょうよ」

「ええ……」


 話すきっかけを失った気がして、女鳥は手紙を文箱の奥深くに隠した。立ち上がり、「お休みなさい」を告げる頃には、彼女はすっかり元の彼女に戻っていた。




 踊子稼業をしながら、愛する若俊を探し求める瑠美子。やがてその居場所が、由良夫人の邸宅だと突き止める。しかし当の彼は数日前に出て行ったきりだという。


「そうでございますか……」


 擦り切れかけた絣の単衣に、引詰めの髪。疲れ切った顔は、しかしよく見ると実に整った、彫刻のような美貌である。長い睫毛を伏せ、落胆の溜め息を吐いた、その時。一人の愛らしい少女が奥から小走りに駆けてきた。


「邦光さん、これを。……女中さんが若俊さんのお机を掃除している時に見つけられましたのよ」

「本当かい、ありがとう恵さん」


 瑠美子はそっと、かの少女を仰ぎ見た。実妹が生きていれば、このくらいの年ではないかしら。しかしそう伝えるのは流石にためらわれた。ボロ着の自分が姉だと言われては、誰だって気を悪くするだろう……。


 彼女は目の前に立つ精二青年を見据えて宣言した。


「私、若俊様を追ってみますわ。そしてきっと、こちらにお連れ申します」


 言うが早いか、鳥のように翻り、駆け去っていく。――


「――そこまで!」


 尾藤の声で、その場の緊張が一気に解けた。今日の撮影前の打ち合わせ兼演技指導が一段落して、技師達がわらわらと監督の尾藤のもとに集まっていく。これまで同じ場面を10回繰り返して、漸く段取りがまとまったらしい(本当は事前に決めておくものなのだが、意見が割れて中々決まらなかった)。同じ場面ばかり演じてきた女鳥とルミラ、それから陣恭太郎の代理で精二を演じた綱本晃平は揃って安堵の吐息を漏らした。いくら好きな芝居でも、何度も同じところだけを、時々中断を入れられながら演じるのはかなり苦痛なものである。


「これでやっと本番に入れそうね」

「ええ、衣装が丁度いい具合に馴染んできた頃だし」


 ルミラは腕が丸出しになるのも構わずに、うんと伸びをする。絣の単衣は、一張羅の設定なので多少汚してあるのが、惜しいといえば惜しい。


 恵、もとい璃枝子役の女鳥はというと、先に記したように、娘好みの可憐な振袖姿。お馴染みのボブカットにはちょこんと、花結びのリボンを付けている。いつも袴と革靴で過ごしているので、たまにこうした着物と草履を着けると、足さばきに慣れるまで時間がかかる。


 また、2人の指にはそれぞれ、菊爪の指輪と透かし彫りの指輪がはまっていた。


「でも私、愈々撮影となると、嬉しい反面ちょっとうんざりするわ」

「まあなぜ、ルミラさん」


 周囲が忙しく立ち働く中、主役の2人は、次の指示があるまではこの邸宅のセットで待機していなければならない。自然、お喋りに時を費やすことになる。


「だって、考えてもみなさいよ。陣恭太郎がここにやって来るのよ。今は別室で個別の演技指導を受けているけど……。おまけに今日は、視察って名目で父親の方までお出ましらしいわ」

「そう。息子の方はともかくとしても、ねえ。また女史に我儘言いに来たのかしら」

「でしょうね。今までは色々言いくるめて帰せたけど、段々向こうもしつこくなってきたから。今日あたりどうなるかわからないわ」

「どうなるか……っていうのは、『花のゆくえ』が、てこと?」

「ええ。噂によれば、あいつらは脚本の書き直しを要求しているらしいわ」


 女鳥は驚きのあまり声も出せなかった。――音の出ない映画なのに、登場人物達の台詞までもびっしり書き込んである『花のゆくえ』の台本……そのまま女史の愛情と熱意の現れだと思って大事にしてきたこの台本に、不本意な変更を加えるなんて、汚しているも同然ではないか。――我知らず、胸の前で台本を固く握りしめた時。撮影開始のベルが響いてきた。愈々今日の分の撮影が始まる。陣父子の視線の前で……。


 女鳥は立ち上がり、コンパクトで素早く身だしなみを確認した。何か妙にがやがやするなと思ったら、恭太郎と、その父親の勇之進が丁度やって来るところだった。がやがやしていたのは、数多の取り巻き連中。


 恭太郎の方は、女鳥の可憐な姿をみとめるや、早足で駆けて来ようとする。傍らにルミラが立ちはだかっていようとお構いなしだ。


「やあ女鳥さん」

「ええ……」「悪いわね陣さん。私達この後の撮影のために役に集中しなければならないのよ。話しかけるのは帰り際まで待って下さらない」

「君に聞いてやいない。女鳥さんに聞いたんだ」


 苛々しく言う恭太郎。足を小刻みに上下させて、図体が大きいだけの子供そのものの態度である。本当の子供ならば微笑ましくもなろうが、自分より年上となると、女鳥は情けないような気がする。


「陣さん、そうお怒りにならないで。生憎ルミラさんの言う通りですのよ。大切な撮影の前はどうか放っといて下さいな」

「女鳥さんがそう言うなら、仕様がないね。僕向こうへ行っているよ」

「ええ、どうも」


 彼女の微笑と声――お情けで恵んでくれたものだとは、愚鈍な彼は気づかない――を得て、恭太郎はいそいそ元来た道を帰っていく。ルミラはその背中にベーッと舌を突き出してから、女鳥を振り返った。


「全く、やれやれってところね。女鳥ちゃん、今日はあいつに見つからないように早く帰りましょうね」

「ええ」


 2人が小声で交わし合った時、監督以下技師達の準備が整った。2人は、由良夫人邸のセットで立ち位置に着き、合図を待つ。幾人かの目配せがあって、漸く「アクション!」のかけ声が響く。その後の撮影は段取りよく、(恭太郎のところ以外は)殆ど失敗もなく進んでいった。


 取り巻き連に囲まれて、陣勇之進はふんぞり返ってこの風景を見ていたが、途中で、飽きたようにふらりと外に出て行った。


「社長、どうされました」

「なに、わしはちょっと村野女史に用があるだけだ。お前達はついて来なくていいぞ。代わりに、伜を見てやってくれ」

「はあ」


 連中を追い返した後、彼としては珍しいことにただ一人で目的地へと向かう。村野女史は大抵事務室にいるから、人に居所を尋ねる必要もない。果たして、事務室の扉を開けると、確かにその姿が見受けられた。


「まあ陣社長。何御用でございますか、お一人でなんて珍しゅうございますわね」


 女史の言葉は、文章だけは親しみ深そうだが、声にはいくらか不愉快な響きも混じっていた。毎度毎度ノックもせずに、女一人の空間にやって来るばかりか、手塩にかけた脚本にあれこれ見当違いな文句をつけてくる相手なのだから、不愉快になるのも当たり前だ。しかし、この陣勇之進という男は、そんなことには一向頓着しない。したがって決して自らを省みることもない。嫌な思いをするのはいつも女史の方。


 彼女は今日こそ、この関係に終止符を打つべきだと覚悟した。――映画の製作資金を出してもらえるとしても、その代償に芸術的妥協を重ねなければならないとしたら、まさしく本末転倒。おまけに、陣勇之進が押しつけてきた恭太郎のお守りにも疲れ果てていた。優秀な役者とスタッフを集めることで定評のある彼女は、この坊ちゃんに全く見込みのないことを一目で見抜いていながら、なおも数か月鍛え上げようとした。しかしながら当の坊ちゃんは、ろくに言うことを聞かず遊んでばかり、そして大事な看板娘の女鳥につきまとっている。勿論その度に叱るのだが、当人はどこ吹く風どころか、父親に言いつけさえする。そのあおりを食った女史が、また不条理なケチをつけられる。――この悪循環を絶ち切るためには、陣父子との繋がりをすっかり捨て去るほかはなかった。


 勿論、この結論に至るまでにある程度の準備をしていた。女史は秘密裡に、次の資金源を見つけておいたのである。そこは『勇進日報』にも劣らぬ大きな会社で、芸術家への理解も持ち合わせていた。経費を切り詰める必要が出るとしても、今の境遇よりは遥かにマシだ。


 女史は、外側は微笑を浮かべて、相手の話し出すのを待つ。


「……先程の場面だがね、女史」

「姉妹がそれと知らず出会うところですわね」

「書き直してくれんか。あのルミラとかいう女優の芝居も、演じている役も気に食わん」

「まあ。あなたもご存知の通り、『花のゆくえ』は瑠美子と璃枝子の姉妹が主役ですよ。瑠美子も目立たなければ意味ないではありませんか。それに、ルミラはルリ・キネの看板スターの一人ですよ、あなたの都合で排除などもってのほかです」

「いや、何としても書き直せ。とにかくわしはあそこが気に入らんのだ。代わりの場面はいくらでも書き下ろせるだろう」

「いいえ……陣さん、私は自分の作品に誇りを持っております。一場面一場面に心血を注いでいるのです。そうそう簡単に書き直すことはできませんし、したくもありません。もしどうしてもとおっしゃるなら、製作自体を中止にするか、或いはあなた方と手を切ることも考えなくてはなりませんね」

「ほう?」


 陣は片眉を上げたが、さして意外そうではない。含み笑いすら見せている。女史は丁度横を向いていたので気がつかなかった。


「陣さん、あなたのこの度のお骨折りはよくわかっておりますわ。けれど、些か折りすぎていらっしゃいますわ。……私が望むのは、自由な映画製作。それだけでございますの」

「金銭的束縛からお前さん達を自由にしたではないか」

「ええ、金銭的には、ね。けれど、それを口実に、脚本や出演者にまで口を出されては、不自由といわねばなりませんわ。表現するための手足を縛られているようなものですから。……いくらお金をくれたって、身動きが取れないのでは意味がないのです」

「……」

「もし今後も態度をお改めにならないのであれば、先程申し上げた通り、製作を中止するか、あなた方の会社から離れます」

「大丈夫かね、女史? お前さんの強情で、優秀なルリ・キネの社員達が路頭に迷うことになりはすまいか」

「ええ、そこは抜かりありません」

「ハッハッハ……いや実に頼もしいな。ところで女史、今日の夕刊を読んだかね」

「まあ、もうそんな時間? あら、丁度売り始める頃ですわね」


 時計を見やりながら言う女史。陣は嫌な含み笑いをして、丁度廊下を通りがかった小僧を呼び止める。


「やあ君、ちょっとこの金で夕刊を買って来てくれんかね」

「『勇進日報』にしますか、他の新聞にしますか」

「わしの会社のものに決まっとるだろう、阿呆が。――さあ早く行って来るんだ」


 眼鏡の小僧は少し気を悪くしたようだが、踵を返してさっさと外に駆けていく。彼は10分もしないうちに帰ってきて『勇進日報』夕刊を息せき切って手渡した。


「ああ。もう行っていいぞ」


 陣は礼も言わないで小僧……栄介を追い返す。がさがさと新聞紙を広げて女史を呼ぶ。


「村野女史、この記事を読んでみたまえ」

「一体何ですか」


 高圧的な陣の声に渋々、言われた通りに読み始めた女史だったが、間もなくその顔がサッと青くなる。振り仰ぐ目に宿る憤り。


「この記事の通り、わしの会社は、平和会書房を買収した。これからは勇進日報社の傘下に入ることになるし、当然今までに平和会書房で抱えていた仕事も、うちで引き取るか切り捨てるか決める。……どうあがいたところで『花のゆくえ』も結局は、我が社の持ち物となるわけだ」


 村野女史は力なくうなだれた。映画芸術にまるで理解のない勇進日報社から去り、いくらかマシな平和会書房と契約して、ある程度は自由な製作を続けるという彼女の目論見は潰えてしまった。


 しかし、狙いを定めていた平和会書房がだめになったとて、他にも出資元になりそうな会社は沢山あるだろう。……女史がそのような希望を持つか持たない前に、陣は新聞を一枚繰ってみせた。


「お前さんにはこっちの方が、重大か知れんなあ」


 ちらと目を向けた女史。既に青ざめていた顔色に変化はないが、途轍もなく驚愕したのが、カッと見開いた目から窺われる。


「そんな……嘘でしょ」


 そんな言葉すら、震える唇から漏れるほどだった。


「村野女史、この事実を知った今となっては、もはやわしに盾つこうとは思うまいね。映画製作どころか、お前さんの大事な人々までも危地に陥ることになるからな。――わしら勇進日報社は、その危地からお前さん達を救出したようなものだ。わかるかね」

「……ええ」

「わしはこの通り、義侠心のある男だ。なればこそ、お前さんを人気記事『子爵令嬢大波乱物語』に関わらせ、映画化にまでこぎつけさせたのだ。お前さんの一番の夢を叶えてやるためになあ」

「……ええ。私が悪うございました」

「よい、よい。わしも左程気にしちゃおらん。さあ、脚本を言う通りに直してくれたまえ」


 大人しくペンを執り、机に向かう女史を見て、陣は高笑いせずにはおられなかった。


「ああそうだそうだ、女史。脚本ではわしの伜の出番が少なかったように思う。増やしておいてくれ」

「はい」


 高笑いを続ける陣の前で、女史はあまりに従順だった。淡々と、『花のゆくえ』の脚本に朱筆を入れていく彼女の姿……これがあの、誰からも尊敬されてきた聡明な女性、村野黎子女史の姿とは。――物影に隠れ、2人のやり取りをずっと見ていた栄介は、憤りよりも寧ろ哀れを感じていた。


(一体あの夕刊に、何が書いてあったんだろう。平和会書房のこと以外で……)


 次の仕事があるのだと思い出して、元来た廊下を駆けていく時も、彼の心の中にはそんな疑念が渦巻き続けていた。


 ――それから2時間近く経って、栄介は女史に呼び出された。再び彼女の仕事場たる事務室に向かうことになったわけだが、彼女の面やつれは傍目にもわかるほどで、栄介は息を呑んだ……。


「どうされました、女史」

「ええ、脚本の手直しをしたのよ。それでちょっと疲れちまったの」


 女史の表情も声音も、「ちょっと疲れた」くらいではなさそうである。脚本の手直しは今までにも幾度かあったはずだが、それらは皆、女史の発案による、いわば「芸術的良心に従った」修正だった。しかし今回のは、不本意な要求を容れての改変。芸術家の心と仕事人の義務に挟まれて、なお元の状態から質を落としたり、そこだけ浮いたように見せたりしてはならない。相当苦心したのに違いなかった。――きちんと清書された紙束をめくってみると、初版には及ばないが、これはこれでと思わせるくらいには良い出来だ。けれど、決定的に足りないものがある……。


「女史、ルミラさんの出番がずっと減りましたね」

「ええ、どうしても尺数の関係で、仕方なかったの」

「その代わりに、陣恭太郎の出番が増えたようですが」

「……」

「女史ッ」


 彼は、相手が苦労して仕上げた原稿ということも忘れて、危うく握り潰すところだった。


「一体なぜあの父子にヘコヘコしているんです、あなたらしくもない! 俺、さっきの女史と陣社長の話を聞いていました。……俺が頼まれて買ってきた夕刊に、何が書いてあったんです? それがあなたの足枷になっているのでしょう」

「横畑君、お願い、聞かないでちょうだい」

「陣社長の言っていた『大事な人々』っていうのは、俺達ルリ・キネの社員のことでしょう。俺達を楯に好き勝手言われるなんて、真っ平ですよ。なぜ、もっと早くご相談して下さらないんですか。俺達は仲間じゃありませんか、女史」


 真剣な眼差しで詰め寄る栄介を前にして、どうして伝えられようか。「大事な人々」が、厳密にいえばルリ・キネの面々ではないことを。「危地」が、陣父子の要求に縛られるよりも辛い状況を指していることを。――女史が何も言い得ないのを、陣父子への遠慮からだと受け取ったのか、栄介の顔は次第に軽蔑の色を帯び始めた。


「わかりましたよ、女史。あなたはそうしてあの父子の奴隷に堕するがいい。でも俺達までそれに付き合いやしませんからね。……この原稿は皆に見せますが、実際に撮影するかどうかはわかりません。あくまで芸術的良心に従い、判断します。今までのようにね」


 言うなり、栄介は振り向きもせずにさっさとそこを出て行ってしまう。彼の動くのに合わせて、自分の清書した原稿の端がペラペラと舞うのが、何となく物寂しい感じを女史に与えた。


 ……栄介がスタジオに戻ると、皆今日の仕事をあらかた終えて、そろそろ帰り支度をしかける頃合いであった。彼は躊躇せず「皆さんすみませーん」と大声を上げた。


「おう、どうした栄坊」

「村野女史から、脚本の直しをいただいてきました。が、これで本当にいいのか、俺達は考える必要があると思うんです」

「見せてみろ」


 外套を羽織りかけていた者も、彼の周りに集まってくる。彼は持っていた原稿を、まず監督の尾藤に手渡す。尾藤もさっと目を通し、栄介と大体同じ感想を抱いた。


「まるで初稿から変わっちまったな。瑠美子の場面が削られて、代わりに精二の場面が増えている」

「まあ」


 ルミラを始め、誰もが驚きの、或いはいぶかしむ声を上げる。唯一喜ばしそうにはしゃいでいるのが、出番の増えた恭太郎。自分の脚本に嬉々として筆を入れながら、偉そうにうそぶく。


「ほら見ろ、僕は村野女史に認められているんだ。反対に君の芝居は幻滅を与えたようだね、ハハハ」


 ルミラは唇を噛んで何も言い返さない。しかし、その分仲間達が猛反発する。


「自惚れも大概にするんですね。俺は、あんたのお父上が女史を半ば脅すようにして、脚本を書き換えるよう迫ったのをちゃんと聞いているんです」

「でかした栄坊。とにかく、ルミラ嬢の才能は折紙付きで、ルリ・キネの看板を背負うだけのことはあるんだ。女史もよくわかっていなさるはずだよ。憶測で勝手なことを言うんじゃない」


 返り討ちに遭って、口をヘの字に曲げる恭太郎お坊ちゃん。自分の味方はと視線を巡らせて、未だ一言も発していない女鳥に気づくとにやりとした。


「女鳥さん、君は僕に悪気がなかったことを、わかってくれるねえ」


 彼女は言葉でなく、否定の意思を眼で示してみせた。その方が余程、彼の胸にこたえたらしく、暫く彼は無言で地面を蹴っていた。が、やがて彼も自分の権限を思い出し、甘ったるい声を彼女の耳元に囁く。


「では僕の誠意の証拠として、僕が父さんに脚本を元通りにさせるようかけ合うよ。君が僕の願いを聞き入れた後にね。……どうだい?」


 女鳥は俯いて考え込んだ末、小さくうなずく。恭太郎は目に見えて喜び、先よりやや声を高くして言う。


「よかったよ。それなら君、この後僕の自動車で、銀座まで行って飯を食おう。その後で夜道をドライブだ。わくわくするだろう」

「わくわくはしませんが、脚本のためにご一緒いたしますわ」

「つれないなあ」


 しかしながら彼の顔はずっとにやけて、もとい、ご機嫌で、女鳥のボブカットを撫でたり肩を抱いたりするのだった。女鳥は今日だけだと自分に言い聞かせて耐え忍んだ。……耐えるという言葉で表現しなければならないほど、この男に触れられると虫唾が走った。


 とりあえず撮り直しの確認は明日することに決まり、今日はもうこれで解散となった。女鳥が着替えのために楽屋に戻ると、ややあってルミラも入ってきた。


「やれやれだわね。まあ撮り直しが発生するとしても、今までのフィルムは捨てられやしないわよ。尾藤さんが隠し持って、いずれどこかで日の目を見るでしょ、アッハハハ……」

「ルミラさん、そのことなのだけど……」


 絣の単衣を脱ぎ、洋服を着かけていたルミラは初めて女鳥を振り返る。


「どうしたの」

「私、今日脚本を元に戻してもらうよう、陣さんに掛け合ってみようと思うの」

「陣さんって、息子の方、父親の方?」

「息子の方よ」

「だめ、女鳥ちゃん! あの男と関わるとろくなことにならないわ」

「でも私達の『花のゆくえ』が、これ以上陣父子に振り回されるのを黙って見ていられないの。少なくとも息子の方は、私を嫌ってはいないから、もしかしたらこちらの要求を聞いてくれるかもしれない」

「それだって、女鳥ちゃんと引き換えにするほどのものじゃないでしょう……」


 2人はその言葉の意味するものを想像して、背筋がうすら寒くなった。それを紛らそうと早く着替えを済ませて、帰り支度に取りかかった頃。ドアを叩く音とともに、かの恭太郎の声が響いた。


「女鳥さん、入ってもいいかい」


 そして父親同様「どうぞ」とも言わないうちに開けてくる(ノックするだけこちらの方がマシか)。――仕立てのよい背広に薄手のコート、中折れ帽、磨き上げた革靴という出で立ちで、格好つけるためにスネークウッドのステッキを握っている。また、大して目を悪くしてもいないくせに、映画スター気取りで色付きの眼鏡なんかかけている。――彼は女鳥の傍らにルミラがいるのを見つけて、不機嫌そうに眉をしかめた。ルミラも負けずに渋面を作ってみせる。


「こちらの返事も聞かずに女性の部屋を訪れて、そのうえそんな態度をお取りになるなんて。随分失礼よ」

「君に何と言われても構わないさ。僕は女鳥さんだけに用があるのだからね。……さあ女鳥さん、車を停めてあるから行こう」


 そう言うなり女鳥の肩に手を置き、強引にドアの方へと向かせる恭太郎。肩に込められた力の強さに、女鳥は己の決断を後悔しかけた。彼の自分への好意も、ルミラの言うように、大して当てにならないかもしれない。当てにならないどころか、危険すら潜んでいそうである……。一瞬だけちらりと後方を見やると、ルミラの表情は怒りとも悔悟ともつかない複雑なものを映し出していた。


 2人を送り出した後も、ルミラの胸には「女鳥を護れなかった」という思いばかりが渦を巻いて、彼女自身をたまらなく情けなくさせた。


 やがて彼女も楽屋を出て、宵の空の下を歩いていく。未だくさくさする心を抱えつつ、それでも撮影所の守衛には挨拶しようと頭をめぐらせた時――。


「だから言っているじゃありませんの」「私達本当に、芸華会の者なんですう」

「だめだよ、お嬢ちゃん達。証明できる人がいなけりゃあ……」


 守衛のおじさんと言い合っているのは、どうも聞き覚えのある声である。それも2人で、芸華会の名も知っている者達だ。となると、彼女達は……。


「マリノ! メリノ!」

「まあ、ルミラさん!」「ルミラさん、よかったわア、会えて」


 マリノとメリノの2人は、昔のように左右から抱き着いてくる。その様を見つめていた守衛のおじさん、頭を掻き掻き、


「ハア、お知り合いでしたか、そりゃ失礼を……」


 と小声で言い訳しつつそそくさ引き下がる。


 ルミラはマリノとメリノを促して、元来た道を辿り、楽屋へと戻った。先程消したばかりの灯を点けてみると、客人は紙袋を提げて来ていたのだった。


「お土産?」

「はい。『華』のマダムが焼いたお菓子です」

「そう、嬉しいわ。ここに置いて置けば、明日の朝女鳥ちゃんも気がつくわね」

「女鳥さん、もうお帰りになりましたの?」「残念ねえ」

「ええ、本当。それというのもあいつが」

「あいつ?」


 興味津々に聞いてくる2人に、ルミラは陣父子のことや、彼らが惹き起こす問題の数々を詳らかに話す。芸華会の時からよく知っている、信用のおける2人には打ち明けてもよいと判断してのことだった。――その判断は正しかったといえよう。マリノとメリノの2人は、そもそも他磨己の指令を受けて「偵察」に来たのであったから。


「要するに、雑誌に載っていること……女鳥さんと陣恭太郎の関係を確かめるのが目的なんです」

「それが嘘だとわかったのはよいですけど、もっと大きな、ルリ・キネ全体にまたがる問題があるのは困りものですね」

「本当よ。ルリ・キネが大変だと、結局は所属している私や女鳥ちゃんもその埃を被ることになるの」


 ルミラは溜息を吐きつつそう言って、ふとある考えが閃いた。


「ねえマリノ、メリノ」

「何でしょう」

「他磨己に聞いてみてほしいのよ……女鳥ちゃんのためなら、今までのわだかまりも所属の違いも忘れて、私達と協力し合えるかどうかを」


 2人は大きくうなずいて、快諾の意を示した。




*題名は、河合映画の巣鴨撮影所で製作され、昭和3年(1928)年6月に封切られた映画「面妖舞台裏」から。

*モダンボーイのお洒落には、ステッキが必需品。なぜスネークウッド製にしたかというと、昭和3年(1928年)の流行歌「当世銀座節」の歌詞に出てくるから、という単純な理由から。

*映画撮影中、強いライトを直に浴びるので、眼を傷める役者が多かった。そのため彼らは、眼を保護する目的で外出時に色付きの眼鏡をかけたという(全員がそうしていたわけでは必ずしもないが)。レンズの色としては、紫、青、黄、黒など。

 また、眼の痛みを取るための治療法として、林檎の汁や、じゃがいもを擦った汁に浸したガーゼを目に当てたり、馬肉を目に載せたりしたとのことである。

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