おわり

 彼女はメイド服を着ていた、彼女の片手には肉と血と骨でできたナイフがあった。

 彼女は僕の担任の首を差し出すと、僕に対してこう言った。


「粗末な血ですが、目覚めの一杯にでも」


 腰が抜けた、僕は後ろに倒れそうになった。

 メイドが支えた、僕の体をメイドが支えた。

 そして、そのまま担任の首を地面に投げ捨てると。

 クラスメイト全員の首を、切った。


ー4


 抵抗など許されなかった、抵抗など存在しなかった。

 全ての首を見渡して、噴き上がる鮮血を目の当たりにして。

 彼女は微笑みながら、こう言った。


「適齢期を過ぎた処女の血液など不要でしたか」


 まるで野菜を食べる事に難色を示した子供を見て言うように、彼女は慈愛を浮かべながらそう告げた。

 気楽に気軽に、そして心配そうに尋ねた。

 僕は、お漏らしをしながら彼女から逃げようとして。


「あれ、ご主人様?」


 足を切断された、そのまま残っている親指を細かくスライスし口に運びながら幸福の笑みを浮かべて。

 僕に抱きついて、耳を喰みながら。

 僕に対して、愛を囁く。


「いい匂いですよ、ご主人様」


 彼女は僕を肯定した。


「いい匂いです、後で全ていただきます」


 彼女は僕を肯定した。


「逃げないでください、逃げるなんて許しません」


 彼女は、僕を肯定した。


「いい血の香りですね、ご主人様」


 彼女は、僕を、肯定した。


「おや、血が乾いています。勿体無い、勿体無いので私の肉を食べてください」


 彼女、は。

 僕を肯定、した。


「髪の毛のパスタは如何ですか? 今日は新鮮な処女の雌豚です」


 彼女、は   。

 僕、    を肯定、した。


「あぁ、丸メガネの雌豚が無くなってしまいました」


 僕、を     肯定した。


「引き締まった夫婦の性器のソテーです、美味しそうでしょう?」


 僕、    肯定。


「いいんちょう? とやらのステーキです」


 あ


「お小水ですか? はい、私が頂きますよ」


 ああ


「トイレですか? 私を利用してください!!」


 あああ


「え、嫌だ? 何がですか? ご主人様」


 ああああ


「ほら、私のご主人様。私の私のご主人様、新しくご飯を調達しますね!!」


 ああああああ


「臓物と糞便の和え物です、どうぞお召し上がれ!!」


 あああああああああああああああああ


「脳髄と眼球のサラダですよ? 今日は渾身の出来です!!」


 あああああああああああああああああああああああああああああああああ


「ご主人様!? お目目を潰してはなりません!! ほら、代わりに私のお目目を差し上げます!!」


 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


「ご主人様の涙、とっても美味しいです!! 毎日のご褒美ですね!! ありがとうございます!!」


 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


「ご主人様、ずっと一緒ですよ?」


 僕は、全てが嫌いだ。

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前日譚、もしくはヤンデレ吸血鬼メイドが教室に乗り込んできて僕を攫った話 黒犬狼藉 @KRouzeki

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