銀河の果てのひっそり佇むコーヒー屋さん。

猫野 尻尾

第1話:癒しを求めて。

ちょっとした昔の海外のSFコメディみたいな作品が書きたくなってチャレンジ

してみました。


20XX年・・・現在の地球では普通に宇宙人又は異星人が街を闊歩して、

多種多様な種族で溢れかえっている。


この物語の主人公は、家族と一緒に地球に引っ越してきたクリームコロッケ人の

男子。


名前は「レシピ」通称レーシー。


年の頃なら17才。

現在エンプティー 宇宙学校に通っている。

でも勉強が大嫌いなレーシーは退屈な毎日を送っていた。


だけどここではっきり男子って言うのはちょっと御幣がある・・・彼、レーシー

が男って言うのはそれは表向き。


クリームコロッケ人は基本雌雄同体・・・その時の状況、環境によって男にも

女にもなる。

そんなだから顔は中性的・・・綺麗な顔立ちをしている。

また好きになる相手によって男にも女にもなれることができる。

あるいは女を好きになったら男に、男を好きになったら女に自由になることも

できる。

今のレーシーは男。

ってことはレーシーには彼女がいるってことになる。


で、レーシーの彼女が同級生でパートナーのスクランブルエッグ人。


「ロネッツ」通称ロネ。


彼女は正真正銘の女の子。

だから今のふたりは男と女の関係、なんの不思議もない。

ロネのほうが一学年歳上の18才。

レーシーにとっては歳上の彼女ってわけ。


ある日レーシーは、朝刊に入っていたパンフに興味をそそる情報を発見した。

それは銀河の果てにあるっていうコーヒー屋さん。


店の名前は「銀河の果てのひっそり佇たたずむコーヒー屋さん」


なんでも、そのカフェは銀河一コーヒーが美味しい店らしい。

コーヒーが飯より大好きなレーシーは無性に「ひっそり佇たたずむコーヒー

屋さん」で挽きたてのコーヒーが飲んでみたくなった。


一度思い出すと、もう気持ちは止められない。

死ぬまでに、どうしても銀河一っていうコーヒーが飲んでみたくてしかたが

なくなった。


俺は銀河一美味しいコーヒーを飲みにいくぞ。


そこで夏休みを延長してもらって、その後は休学することにした。


レーシーは今回の旅行にパートナーのロネを誘って「ひっそり佇たたずむコーヒー屋さん」へ行ってみようと思っていた。


一応旅行プランを立ててみると「ひっそり佇たたずむコーヒー屋さん」までは

宇宙空間を超光速シャトルでジャンプを繰り返しながら行ったとしても地球から

約一年ほどかかることが分かった。


旅費は子供の頃から貯めていた貯金を降ろすことにした。


で、一番の問題・・・銀河の果てまでコーヒーを飲みに行くことをレーシーは

両親に話した。

一人旅はなにかと心細いし危険なことがあってもいけないけど、まあしっかり者

のロネが一緒ならいいだろうってことで旅立つことを許してもらった。


最初ロネは、レーシーのこの旅に反対した。


わざわざなんで銀河の端っこまでコーヒーなんか飲みに行くんだって、面倒くさそうにしていたが、一人でもコーヒーを飲みに行くって聞かないレーシーを放っておけず、しぶしぶ旅に同行することにした。


で、ロネも自分の貯金を降ろしてレーシーにカンパしてくれた。


「ロネ、俺のためにありがとう・・・」


「大事な彼氏を放っておけないからね・・・あんたドジだから途中で船から

放り出されて迷子になって宇宙の藻屑もくずにでもなっちゃたら可哀想だもんね・・・私がついてなきゃ」

「それに一年も禁欲するなんて私、無理だからね」


「それはそうだ・・・ロネが行ってくれないと途中で風俗に寄らなくちゃ

いけなくなるからな」


「なに、言ってんの彼女がいるのに風俗なんて私が許さないからね」


「冗談だって・・・未成年が風俗なんか入れるわけないだろ?」

「それより一年は学校に行かなくていいのが嬉しいかも」


「でも、私たち、どうみても女同士のカップルにしか見えないよね」

「あんた・・・見た目女の子だからさ・・・」

「あんたの裸見て、あ、そうか男だったって気付かされることあるからね」


「俺も時々、ほんとに自分が男だってこと忘れる時があるよ、って言うか

いつでも言ってくれたら女になるけど、GLできるよ」


「長い旅だし・・・それもいいかもね」


ってわけで、ふたりは宇宙空港から「こと座RR型変光星系行き」のシャトル

に乗って銀河の果ての「ひっそり佇たたずむコーヒー屋さん」へ旅立って

行った。


恋人同士の旅・・・レーシーは男と女に入れ替わりながらロネと目的地まで

さぞかしラブラブな旅になるんだろうな。

こんなパートナーがいたら男と女両方楽しめていいかも・・・。


目的の「銀河の果てのひっそり佇たたずむコーヒー屋さん」忘れないようにね。


END.

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銀河の果てのひっそり佇むコーヒー屋さん。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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