寝落ちしたら俺の妄想内の世界に転生してました~現実逃避の先で人生1からやり直す~

@mintooooda

第1話 理想の世界へ

.................


俺も「小柄!金髪!巨乳!の、いつも甘やかしてくれる天使のような性格で可愛く美しいお母さんと、イケメン!体がムキムキ!でいつでも守ってくれる頼りになるお父さんの子供に生まれ、可愛い近所の女の子と共に同じ学校に通い共に時を過ごしたり、あんなことやこんなことの試練を乗り越えて最終的には結婚したりして、今の生活の正反対のハッピーエンドを向かえれるような世界に」


        転生したい...


 朝のモーニングルームからそう思っているのは、高校2年生菅田凛登

 俺はごく普通の学校生活を送っている。

 普通と言ってもこの生活が好きでもないし、満足している訳でもない。

 振り返って見れば高校生活をもっと華やかにする方法がたくさんあったかも知れないが、今さらそんなことを考えてももう遅いか…


 ————————遡ること入学式当日俺はものすごく緊張していた。

 なぜなら、小学校、中学校、なんなら幼稚園も自分が自信をもって友達と言える人が一人もいないからだ...

 友達を作るならこれがラストチャンス、最低でも一人は友達と言える存在を高校生活で作る、と意気込んで見たものの...


         なんでだ??


 クラスに移動するとみんな緊張どころか前々から知り合いでしたーみたいな顔で喋っている。

 まだ、クラスメイトと喋れてないのは周りを見渡す限り俺だけ。 

 今のままでぼっち生活まっしぐら。

 これじゃあ過去の自分と同じじゃないか、ぼっちを回避すると決めたじゃないか。

 横にはあきらかに俺よりも陽キャそうな男が座っている。

 よし、決めた。

 今、俺史上最大の勇気をここでだす。


「こ...こんにちは、」

「こんにちは」

「あ、あのさ、一つ質問なんだけど、な、なんでみんなもうこ、こんな仲良くお話したりしてるのかな…」

「え?お前インスタとかビーリアルとかやってないの?そこでもうみんな繋がって顔見知りなんだぜ?お前どっちもやってないの?やった方が絶対に得だぜ。」

「そ、そうなんだ…教えてくれてあ、ありがとう…」

 終わった。


 ネットで前々からみんな繋がっていたのか。陰キャの俺がそんなこと知るか!最初から俺は一人だったのか……みんなある程度の仲にはなってるのか。

 現実からではなく今時の人付き合いはネットからなんだとさ、

 完全に盲点だった。

 それに会話も終わった。

 そもそも何を話せば言いかも分からないし話たとしても会話の弾ませ方が分からない、

「 …………はぁ」

 無駄な勇気を出したな。


 入学して1週間がたった頃にはクラス内カーストができていて、俺はというと完全に一番下のカーストに位置している。

 入学して半年たった頃には完璧なぼっちを極めていた。

 休み時間、ガヤガヤとうるさい陽キャ達の声を聞きながら俺はというと最初で最後の友達机君と顔を擦りあいながらお喋り。

 こんな生活を続けていると、

 毎日毎日思うことがある。

「俺の憧れてた高校生活はこんなはずじゃなかったのにな……」

  

 学校から帰って来ると真っ先に向かうのが俺の相棒のベットだ。

 ―ドスッ―

 疲れてるを言い訳に部屋にバッグを放り投げるように置く。

 最近は自堕落な生活になってきている。


 「はぁ」

 満足のいく生活じゃないんだ、ため息の一つや二つ出るに決まってる。

 それに、今日も友達ができなかった、もっぱら諦めているが。

 

 「俺も...」

 「小柄!金髪!巨乳!の、いつも甘やかしてくれる天使のような性格で可愛く美しいお母さんと、イケメン!体がムキムキ!でいつでも守ってくれる頼りになるお父さんの子供に生まれ、可愛い近所の女の子と共に同じ学校に通い共に時を過ごしたり、あんなことやこんなことの試練を乗り越えて最終的には結婚したりして、今の生活の正反対のハッピーエンドを向かえれるような世界に転生したい」

 と学校でしていた妄想を一言一句違わずまたもや妄想する。

 

 いや…虚しいことを考えるのはやめよう、

 疲れているときは寝るのが一番だ。

 体を少しでも休める休憩がてら、

 おやすみなさい。

 この時はこの世界の睡眠がこれで最後になるなんて思ってもいなかった。


 (ふわぁぁぁ)

 (よく寝た……今何時だ?)

 !!!

 あれ?俺のいつも寝る前に投げキッスを送っているタペストリーがない!

 (お、おれの愛しのタペがない??!!)

 てか、なんかいつもと天井違くね?


 「あら、サクちゃん起きたのでちゅね~」

 「寝顔も可愛らしいこと」


 サクちゃん?俺のことか?とりあえず何か返事をしなければ、


 「オギャーーオギャーーーー」


 …………え、声が出せない、体が動かない、

 学校の自己紹介の時よりも内心パニックになっている。

 今俺はどうなってる。

 そもそも、この女は誰なんだ、いや、でもどこかで見たことがあるような、


 「おい、二ノあまり可愛いサクちゃんを泣かすなよ?」

 「分かってます~それに、いつもはあなたのいかつい体でサクちゃんは泣いてるじゃないですか」

 「おい、なにかいったか??」

 「なんでもないです~」

 「ハッハッハッハッ」


 おい、なんだれこれ、情報量が多すぎるクラスのドロドロトした恋愛事情並みにいや、それよりも多すぎる。

 それと、この男も誰なんだ、なぜかこの男も見たことがあるような気がする。

 

………俺の妄想上のキャラ


 思い返してみると…

 (小柄!金髪!巨乳!の、いつも甘やかしてくれる天使のような性格で可愛く美しいお母さんと、イケメン!体がムキムキ!でいつでも守ってくれる頼りになるお父さん)などと、

 寝る前に真剣に考えていたような気もする。

 そりゃあ妄想なので冗談で考えていたが、今の状況から考えるに多分本当にその願いが叶ってしまったらしい。      


………………

 

 ちっぽけな俺の脳みそをフル回転させて考えてみたのだが、

 俺の望んでいた世界に転生したんだろ。

 前世でできなかったことができるかもしれないんだろ。

 自分が満足できるかもしれない世界に転生したんだろ。

 なら少しは頑張って見ようかな。

 後悔しないように。

 

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