おじさん

おじさんおじさん

――――あれ？あそこにいるのって……

春の嵐の悩み事、秋の台風知る由なし！！！！！

おじさんだ！！おーい！！おじさーん！！

おや、奇遇だねえ。

おじさん、ひとがいっぱいだね。とかいだね。

ここは駅だからね、人が集まりやすいんだよ。

駅に馬はいないが、人は大勢いる！！

なごやえきだって。おじさん。

お、君は漢字が読めるのかい。感心だねえ。

漢字を制する者、即ちマンモス狩りを制す！！！！

ハッハッハッ！

おじさんは？かんじよめる？

ああ、読めるとも。…しん………け…？…そ…？

あれは呪いの呪文だ。触らぬ呪いに見ぬ呪い、あれは読んじゃあいけないよ。

しんかんせん、だね。

ふうん。

………よめないの？

おじさんは、読まないんだ。知識は貯めるもの。むやみに放出したら、馬鹿になっちゃうよ。馬鹿になるとどうなるか、知ってるだろ？

………どうなっちゃうの？

「ばかまつり」に参加させられるんだ。

ばかまつり？

ほら、これ。招待状。おじさんのとこに届いたんだ。

インビテーションと書き、アーティファクトと読む。そうだろ？

そうなの？

ほら、開けてみるよ。

わあ。ぜんぶひらがなだ。

ひらがなを読めない日本人。

君はなっちゃあいけないよ。

ぼくべんきょうがんばるよ、おじさん。

………うーん。

どうしたの？おじさん。

読めないね。

よめないか。ぼくよむよ。

ひらがなだからと侮るない、何事も最初が肝心！！！

千里の道も一歩から！歩けば必ずローマに着く！！！

すごいやおじさん！せかいのしんりだね。

じゃあぼくがよむよ。

どようびありますばかまつり

きのみきのまま　おいでませ

ところはなごや　さかええき

おみこしをひとつかつぐだけ

さんじかんほどでおわります

こんどはぜったいさんかです

できんのひともいらっしゃい

ほう、土曜に栄駅に行けと。

人に命ずる者、クマノミに同じ！！

……どういうこと？

行かない、ってことだよ。

ぜったいさんか、ってかいてあるよ。

おじさんは出禁だからねえ。

できんのひともいらっしゃい、ってかいてあるよ。

有史以来一番使われた文章！！！！

それ即ち「この文章はフィクションです」だ。

そうなの？

歴史家は、歴史に嘘を混ぜ混む料理人である。

すごいや！おじさんものしりなんだ！

だからたぶん、これは全部嘘だね。

たんていみたいだね！おじさん！

そうそう、今日は買い物にきたんだった。

なにをかうの？

おっと、下手な詮索はやめておきな。

詮索の始まりは貴族社会の始まりさ。

わかったよ。おかいものたのしんでね。

ぼく、しんかんせんでとうきょうにいくんだ。

切符を持つ人は皆穴の中のウツボだ。

おじさんは、旅行は楽しむべきだと思うよ。

うん。ありがとう！たのしむよ！またね。おじさん。

ｽｩｯｯｯ

旅に生きるこそ人の道！！！！

歴史に前例多かれど、

飽き足りないのが世の定め。

悶着あれば山河もあり。

たゆたう水のごとくして、

ツイスト踊るは人の性！！

いくら玉ねぎ刻まれど、

人にはなれぬ、あなゆかし。

気の向かうまま、どこまでも。

渋谷は日本にあるまいな。

あるまいな。あるまいな。

ここは人間博物館。

世界は広いが高さなし。

奥行きだけの社会を見、

何を思うかサヌカイト。

長者即ち敵役。

その事だけを教えしや！！！

ロジックだけが正しさか。

唱えよ訪問販売者！！！！！

それではお暇致しましょう。

また会いましょう！また今度！！！！！

ｽﾀｽﾀｽﾀｽﾀｽﾀｽﾀｽﾀｽﾀｽﾀ………………