7話 人外共の非日常
「特に何か効果があるわけじゃあないよ。何の変哲もない装飾品。普通のお守りさ。」
「大きさはある程度可変だしどこにどう置いたり着けたりしてても邪魔にならないのは不思議ねぇ。」
「確かにそうね…懐中時計と剣はいいとして私のはただの玉なのに。」
冬鷺はカチャリと金具を揺らしながら答える。
「まあ…気にすることではない。」
「よく包丁とかナイフ刺して置けるからお世話になってるわ。」
「料理中に声掛けるとナイフ飛んでくるのはそういうことなのか。やめれ。」
「君らは死ぬ種族なんだから危ないことをしないでくれよ。ツケ払ってからにしてくれ。」
「なんなの…この人達…」
「よし、出来た…解れてた所も縫い付けておいたぞ。」
ふわり、ふわり。衣を纏い來命が舞う。その光景は確かに神の舞であった。
「相変わらず舞ってる間だけは神様なんだよな。」
「そういう貴女は魔女っぽくは無いわね。今のところ只の脳筋よ。やりたい砲台。」
「黙れ!」
「何やってるんでしょうこの人達…」
「リエラ君、困惑するのは分かる。これが日常だ。慣れてくれ。」
「さて、あとは何か必要なものはあるのか?」
「特にないが…お腹が空いた。」
「ああ道中の
「ご飯ですか?」
「里に飯屋は幾つもあるのよ。私は従者だからあまり行かないけど。蕎麦、饂飩に鮨、天麩羅…丼物や串物。」
皆は自炊してるだろう?と冬鷺。
來命は、甘味屋にはよく行くけどね。と返した。
「お金は持ってるんだから行ってきなさい。あとツケ払ってくれ。」
「じゃあ
「払いなさいよ貴女達…」
「そうと決まれば早く行くわよリエラ!」
「あ、はいっ!」
「全く…」
バァンッ!
靈空が扉を勢いよく開き、飛び出す。
「では、私も失礼しますね。それでは♪」
目の前からフッと消え去る朔月。目を疑う光景にリエラは途惑う。
「えっ!?ん?今消えっ…!」
「あれは彼女の能力。【
「便利ですね…!」
「はよ!はよ行くぜ!」
「いや僕は…」
「いーからいーから。」
來命が冬鷺の背中を押し無理矢理外に出す。
「行くよ。行くから押すな。だがリエラ君以外の2人分は奢らないぞ。」
「それくらい自分で出すさ。私たちをなんだと思ってるんだ!」
「ツケを払えない貧乏人、かな。」
「2人とも人外の大富豪なのよねぇ…」
彗楽園 天黒燕 @whiteswallow
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