人生負け組

根なし草

第1話

人生負け組


東京の雑踏に紛れ、今日も彼は会社へ向かう。スーツは皺くちゃ、顔色は青白く、肩には重すぎる疲労がのしかかっている。彼は「人生負け組」と自称する、35歳の会社員、山田太郎だ。


大学時代は、周囲からは「将来有望」と期待されていた。しかし、就職活動はうまくいかず、結局は中小企業に就職。その後も、昇進は遅々として進まず、給料は安いまま。結婚は諦め、彼女もいない。


毎晩、同じように会社から帰り、コンビニ弁当を食べて、テレビを見ながら、明日への希望をなくしていく。週末は、家でゲームに没頭するか、一人寂しく居酒屋で酒を飲むだけ。


「俺の人生、一体何だったんだろう?」


そう呟く彼の言葉は、まるで虚無を突き刺すような、冷めた響きを持っていた。


ある日、会社でリストラの話が出た。山田は、自分がリストラの対象になるのではないかと、不安で押しつぶされそうになる。


「このままじゃ、本当に人生終わっちゃう…」


彼は、これまでの人生を後悔し、絶望の淵に突き落とされた。


しかし、そのとき、彼はあることに気づいた。


「まだ、何かできることがあるかもしれない」


彼は、リストラを機に、自分のやりたいことを探し始める。


幼い頃からの夢だった、小説家になることを決意したのだ。


彼は、会社を辞め、小さなアパートに引っ越し、毎日、小説を書き続けた。


最初は、なかなかうまく書けなかった。何度も書き直し、何度も挫折しそうになった。


しかし、彼は諦めなかった。


「人生負け組」というレッテルを背負いながら、彼は、自分の夢に向かって歩き始めたのだ。


彼の小説は、彼の苦悩と葛藤、そして希望が詰まっていた。


彼は、自分の経験を糧に、心を揺さぶるような物語を紡ぎ出した。


しかし、彼の小説は、出版社からことごとく突き返された。


「才能がない」「面白くない」「読者層が狭い」


厳しい批評に、彼の心は徐々に蝕まれていった。


夢を叶えるどころか、彼は再び、絶望の淵に突き落とされた。


「俺は、やっぱりダメな人間なんだ」


彼は、部屋に閉じこもり、小説を書くことさえも諦めてしまった。


かつて、希望に満ちていた彼の目は、今では虚無を映し出している。


彼は、再び、孤独と虚無の中で、人生の終わりを待つだけになった。


「人生負け組」というタイトルは、彼の過去を象徴するものであり、同時に、彼の未来への絶望を告げるものだった。


彼の物語は、私たちに教えてくれる。


どんなに努力しても、報われないことがある。


「人生負け組」というレッテルは、私たちを永遠に縛り続ける。


自分の人生は、自分自身で切り開くことはできない。


山田は、そう証明した。


 


この物語は、人生のどん底に突き落とされた男が、自分の夢を見つけ、それを叶えようとするも、結局は絶望に飲み込まれていく物語です。


「人生負け組」というタイトルは、彼の過去を象徴するものであり、同時に、彼の未来への絶望を告げるものです。


この物語を通して、人生は必ずしも希望に満ちたものではない、という残酷な現実を感じていただければ幸いです。

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人生負け組 根なし草 @onionmaste

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