4侵入
施設は相当入り組んだ場所にあった。
ニアと出会わなかったらたどり着けなかったかもしれない。
そして俺達は施設の廊下を進む。
逃げたたくさんの魔女を探しているからか警備はかなり希薄だった。
歩いている途中、ニアが言った。
「私はお前が死にそうでも助けない。
私が救いたいのはあくまでセリーナだけだ。」
そんな時、いきなり前方から施設の人間と思われる2つの影があらわれた。
ニアは音もなく接近し、その瞬間ニアの八卦炉から閃光が迸る。男達はすぐに力なく倒れ込んだ。
涼しい顔で、
「能力者ではないみたいだな。無能力者が突然能力が覚醒することもあるらしいが。」
と呟くニアのその冷静さに驚きつつも、俺は焦りを覚えていた。
「ニア、セリーナがどこにいるか分かるのか?」
ニアは少し考える素振りをしながら、
「大体の目星はついている。」
といい、歩きだす。
俺はその背中を追いかけながら、
「この施設には何人くらいい…」
「おい、黙れ」
突然ニアに静止をかけられる。
数メートル先にドアがあり、少しだけ空いている。
「セリーナの声だ」
ニアに言われて耳を澄ますと、かすかにセリーナの藻掻く声が聞こえる。
その瞬間、ニアが飛び出しドアを思い切り開ける。
俺も走って追いかける。その瞬間、打撃音が聞こえ、その場にいた男たちは全員倒れていた。
さすがニアだ。
その瞬間嫌な予感がして背後を振り向くと、そこには刃物を持った男がこちらに走ってきていた。
避けられない。死ぬ。そう思った瞬間、ブシュッ一 と生ぬるい音がして、でも不思議と痛くなくて、恐る恐る目を開けると、血に染まったセリーナが俺をかばっていた。
セリーナの力が抜け、地に膝をつく。
血は止まることを知らず、溢れ続ける。
なんで…なんでなんでなんでなんで…
俺の命なんてどうでもいいのに。
なんで俺をかばう??頭が真っ白になる。
白昼夢をみているような気がした。
こんなことなら俺はセリーナの道具でもなんでもよかった。
俺に力があれば…能力があれば…
助けられたのに。
リスキルされた俺が生首だった!? @washibann123
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