3仲間

「あ!!自己紹介してなかったー!」

さっきまでのシリアスな雰囲気はどこへやら、魔女はいきなりそんなことを言う。

「私はセリーナ・ブラッドリ!あなたは??」

名前を聞かれてしまったが俺は記憶喪失なのでそんなものは存在しない。

「俺は記憶喪失で名前が無いだ。」

セリーナは気まずくなったのか目を逸らして謝る。

俺もなんだか申し訳なくなり、

「あ、あぁぁそうだ。セリーナがつけてくれよ。」

と言うと、

いいの!?と目を輝かせ、しばらく考えたあと

「じゃあ、なまくびなんてどうかな??」

「変わってねぇじゃねぇか!!」

「嘘だよ冗談」

そんなくだらない雑談を交わしたあと、俺の名前はロゼということになった。



そして俺達は施設から逃げるための準備を始めた。

施設は人目につかない山奥に在るらしい。

あ、懐中電灯の電池が入ってないみたいだ。

「セリーナ、電池ってあったりするか?」


「…………………………………」


「…セリーナ?」

嫌な予感がして後ろを振り向くとセリーナを抱える複数人の男の影。

「セリーナ!!!!」

俺が動く間もなく、男達はセリーナを連れて姿を消した。



俺は一瞬、何も考えられずに立ち尽くしたがすぐに男たちが向かった方向へ走り出した。


夢中で走り続け、気づけば川沿いに来ていた。

「セリーナ!」俺は叫ぶ。

ここにもいないみたいだ。

周囲を見渡すと髪の短い謎の女がこちらに歩いてきていた。そして俺の目の前で歩みを止める。

「おい生首野郎、今セリーナって言ったな?」

いきなり話しかけられて混乱してしまう。

「お前は魔女か?セリーナを知ってるのか?」

女はめんどくさそうに口を開く。

「一気に質問すんなようぜーから。

そうだよ。私は魔女だ。

セリーナと同じく施設に捉えられていた。」



この女の名前はニアと言うらしく、セリーナに助けられた事があるらしい。

それはもう、セリーナ大好きといった感じだ。

セリーナが誘拐された旨を伝えると、奪還に協力してくれることになった。

(誘拐される前に助けられなかったことに対して散々文句を言われたが)


ニアはそこそこ魔法が使えるらしく、ニアのほうきで空を飛び施設へ向かった。

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