第11話 支えてあげるよ
ミツルは「ツグミ、大丈夫か?」と片足を引きずりながら捻挫した左足をかばって居た。
ツグミは「ありがとう。でもね、キョウヤは、今日帰ってなくて、本当は帰る筈だったんだけど、私達の事が気になって帰りたくないみたい」と話し掛けた。
ミツルは「無理も無いよ。ただ、ツグミと皆が元気でいてくれたら、それだけで良い」と優しいまなざしを向けた。
キョウヤは「やい。お前、ミツルって言ったよな?俺は、ツグミの事を掛けて勝負しないか?校庭で早くどちらがゴールに着くか勝負だ。先に着いた方が勝ち」と指を差した。
ミツルは「じゃ、今日の放課後に校庭で勝負しようぜ」と話をして、夕方の夕日の陰る頃に、校庭で「いちについてよーい。どん」とツグミがゴングを上げた。
ミツルは「はぁ、はぁ、はぁ」と走って居たのだが、キョウヤは「やーい、お前遅いんじゃないのか?」と横から、ヤリを投げた。
キョウヤは「俺の勝ちだな。残念だけど、ミツル、お前には勝ち目がない」とミツルをさげすむ様な言い方をした。
ツグミは「もう、辞めてよ。ミツル君左足の膝から血が出ているの。きっと転んで擦りむいたのかもしれない」とミツルを心配して保健室へ連れて行った。
キョウヤは「そんな奴ほっとけば良いのに」とツグミにキツク言い放った。
ツグミは「そんな、キョウヤ大嫌い。何でそんな酷い事が言えるの?」とキョウヤの頬を殴った。
キョウヤは「何で?何で俺よりアイツの方が良いのか分からない」とイライラして居ると、カナデが来て「ふふ、勝負は勝ったみたいだけど、ミツルとの心の優しさには勝てなかったみたいだね」とニヤケタ顔をして笑って居た。
キョウヤは悲しくて涙を流しながら、校庭を後にした。
ツグミは、「ミツル君、怪我の消毒しようね?」と言って、ミツルの膝に消毒液の綿を付けた。
ミツルは「いてて。ごめんな。こんな事になって」とツグミに素直に謝った。
ツグミが「キョウヤもキョウヤだよ。あんな言い方をする事無いと思う」と怒ったような顔をして話し掛けた。
ミツルが「良いんだよ。アイツはアイツらしいし、そんなにカッとなる事は無いよ」とツグミに声を掛けた。
ツグミは「ミツル君は、優しすぎる。だから、相手に利用されるんだよ」とミツルにきつく注意をした。
ミツルは「ツグミ?俺の為にありがとう。でも、もう俺は俺のやり方があるし、強い奴は強いけど、気持ちも優しくない奴もいる。でも、俺みたいに誰かに対して優しさを与えてあげられる人も居るし、人間って面白いよな」と笑って居た。
ツグミが「そうね。確かに、やっぱりミツル君は誰に対しても優しくて包容力があってすごいな」と褒めていた。
ミツルとツグミの幸せを願いたくはなかったが、2人の仲良さそうな姿を見てキョウヤは「やっぱり、俺はミツルに負けたよ」と情け笑いをしてその場を去って行った。
それからと言うもの、キョウヤは連絡もろくに送らずに、ツグミの住んでいる街を出た。
ツグミとミツルは大人になって、2人で新居を構え、末永く幸せに暮らした。
この世界は愛で満たされている 影山 みはつ @mihatsu1865
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