第10話 すれ違い
ツグミが「ミツル君。今日、お祭りだから、一緒に廻ろう」とミツルと約束した、当日の朝だった。
キョウヤが来て「おい、ツグミ。一緒に祭りに行こうって約束したのに、他の男と回るなんて聞いて無いぞ」と周りでヤジを飛ばしていた。
リョウタが「君、誰?」とキョウヤに尋ねると、キョウヤが「俺は、キョウヤって言います。ツグミの元彼です。今の彼とはどんな関係なんですか?」と率直に聞かれて、リョウタが「あぁ、一足遅かったけど、ミツルとツグミは恋人同士で今やだれも知らない人は居ないと噂されているよ」と話し掛けた。
キョウヤが「くっ、憎らしい、あのミツル」と凄い形相で、ミツルを睨んで見て居た。
ツグミは「あはは、ごめんね。あのキョウヤって言う名前で、私の元彼なの。睨んでいるのは、何時もライバル視すると凄い形相で睨んでくるから気にしないでね」とそそくさと2人は遠くの方まで、出店が出ているので見に行っていた。
ツグミが沢山のお客さんに紛れて、手を離した隙にミツルは、ツグミと離れてしまった。
キョウヤが「よっしゃぁ、此処からは俺の出番だな」と言わんばかりに、勢いよくお客さんの隙間を縫う様にして歩いて行った。
ツグミは真っ暗闇の中で、森が神社の先にあり歩いて行くと動物の狼の声が聞こえて来た。
ワオーンと言う鳴き声で、ツグミは「きゃあああ。誰か助けて」と言う声を上げても、誰も来てくれず、キョウヤが「あれ?ツグミが居ない。どこ行っちゃった?」と周りを見渡してもどこにも居なかった。
キョウヤが「ミツルだったよな?ツグミどこ行ったか知らないか?」と尋ねても、ミツルは首を横に振るだけだった。
神社の神主が来て「大丈夫か?」とツグミに声を掛けて、森の奥の真っ暗闇の中を助けに来てくれていた。
神主が「此処は危ない、もう少し安全なところに行こう」と出店の所までの抜け道を過ぎて逃げて行く事が出来た。
ツグミが真っ黒な傷を足に付けて、「ミツル君」とミツルの近くまで行き、ミツルがツグミの身体を支えた。
キョウヤは、その後、神主に助けてもらった事を訊いて、ツグミの容態が気になって駆け付けた。
キョウヤが「ツグミ、ツグミ。俺だよ。キョウヤだよ」と眠っていたツグミを起こした。
ツグミは「うっ、痛い」と足首を捻挫して、変につまずいたのだろうか痛そうにして居た。
神主が「わしが、見つけた。神社の先の森は、動物たちの住処になって居って、あまり危ないから出店の抜け道を出て来たのじゃ」と暖かいコーヒーをマグカップに入れて、コーヒーをご馳走になった。
キョウヤもミツルも「気付いてあげればよかった。でも、助かって良かった」と安堵の表情を浮かべ、ツグミを見ていた。
その夜、ツグミたちはお祭りの花火を鑑賞して、ミツルの肩に支えられながら、家へと帰って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます