第9話 あの人
ツキヨが「やるわね?こんな可愛い子を見つけて来て」とミツルを肘で突っついた。
ミツルが「いや、たまたまだよな?」とツグミに視線を送った。
ツグミが「そうだよね?」とよそよそしく苦笑いしていたが、ツグミが「あ」と何かを思い出したかのように目をパッと見開いた。
ミツルが「どうした?」とツグミに声を掛けた。
ツグミが「あのさ?昔付き合って居た人から、今日こっちに来るみたいで、しかも私に会いに来るって言って居たから」とミツルに伝えた。
ミツルが「え?まさか、元彼?」とツグミを見て驚いていた。
ツグミが「ごめん。直ぐ帰らなきゃならないから、あまり長くは居られないかな」と話をして居ると、ルルルル~♪と言う携帯の着信音が鳴っていた。
ミツルが「噂をすれば元彼?」と横目でツグミの携帯を見ていた。
ツグミがミツルに「ちょっと、外に出て行くね」と話をして外で電話を始めた。
キョウヤが「あ、もしもし、ツグミ?俺、今からそっちに行くから待っていろよ」と携帯に出ると大きく元気な声が聞こえて来た。
ツグミが「あ、あのさ」と声を掛けようとしたが、一方的に電話を切られてしまった。
ミツルが「何だって?元彼は」と声を掛けると、ツグミが「今からそっち行くから、待って居ろよって話し掛けられて、仕方ないから自転車で家に帰るわ」と自転車に乗って、荷物をかごに入れて家へと帰って行った。
ミツルは「そんな急だな。どうしたのか」とびっくりしている様子だった。
ツグミは家に帰ると部屋を片付けて、綺麗にしておいた。
キョウヤがピンポンとチャイムを鳴らすとツグミが「うわ、こんにちは。こんなに早く着くなんて聞いて無かったよ」と額に汗を掻いて玄関を開けた。
キョウヤが「いやさ、今もうすぐで此処の所で祭りをやるって聞いたからうずうずして居られないと思って来たのさ」とキャリーケースを持ち上げて家に入って来た。
ツグミが「何?此処私の家なのに泊まる気なの?」と嫌な顔をしてキョウヤを見つめた。
キョウヤが「しょうがないだろう?ここら辺泊まるところないし」とツグミの返事に少々イライラしていた。
ツグミが「どうしようかな?キョウヤが遊びに来て、泊まりに来たなんて言ったらお母さん困るだろうし」とキョウヤの事で呟いていた。
キョウヤは寝る前のパジャマと下着を用意していた。
ツグミが「まだ、お風呂の準備もして居ないのに気が早くない?」と困ったように首を傾げた。
キョウヤがミツルと映っている写真を見つけて、キョウヤが「こいつ誰だよ」と写真をまじまじ見つめていた。
ツグミが「え?あぁ、これ今の私の彼氏でミツル君って言うの」とキョウヤにミツルを紹介した。
キョウヤが「ミツル?そんな奴より俺の方がかっこよくない?」と何だか嫌な顔をして居た。
ツグミが「何でミツル君と張り合う訳?私は、ミツル君の彼女だからもう、キョウヤとは付き合わないのに」とハッキリ気持ちを伝えた。
キョウヤが「ふーん。じゃ、もう俺は必要ないってわけか?」と変なところで意地を張っていた。
ツグミが「だから、そんな変なところで意地を張るのを辞めたら良いのに」とキョウヤに話しかけると、急に顔を近づけて来てキスをした。
キョウヤは「今でも俺は、ツグミの事を好きだったけど、もう、ミツルって奴の事が好きなら、俺は違うホテルに泊まるわ」とパジャマと下着をスーツケースに入れ、ツグミの家を後にした。
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