主人公の人格が何よりの美点

※読み合い企画からのレビューです

江戸時代で言う「えた・ひにん」のような被差別階級である第四階級で、物乞いとして迫害されてきた主人公には、隠されたチート能力があった──という「異世界転移」「スキル」「チート能力」の三拍子揃ったありがちな物語かと思いきや、「差別と戦う」というテーマ性、そして聖人かつ克己心の強い主人公の人格で差別化が図られている
物乞いで何かを貰った相手の能力や経験をそのまま受け継げるというチート中のチート能力を持っているにも関わらず、他者を尊び、驕ることなく、同じ第四階級の仲間たちのために差別をなくそうと努力する主人公の姿は、女神からチート能力を貰って異世界で無双しイキるテンプレ主人公たちとは一線を画している
魅力的なキャラクターたちも数多いが、やはり視点である主人公に好感が抱けない作品は、読んでいてつらいだけだ
文章力も非常に高く、現状の評価は不当だと感じる
このレビューが読者を呼び込むことを祈る