異常な世界からの招待状

※読み合い企画からのレビューです

主人公が迷い込んだのは、「偽日本」とでも呼ぶべき異常な世界
その世界では、狐と狸の面を着けることが常識で、通貨は剥いたリンゴの皮
ホラー的な意味での異世界感が癖になる本作品は、その異常さを読者に伝えるための設定が非常に優れている
狐狸の面に通貨だけでなく、子供たちは粘土細工で作られ、選挙の候補者たちは見上げるほど大きなケーキの上で演説をする──悪夢か狂気かという設定が物語を彩り、その説得力を増しているのだ
ラストのオチもゾッとするものであり、短編作品としてこれ以上ない仕上がりとなっている
筒井康隆やつげ義春なんかが好きな人は、是非一読を