第2話

佐久間海風さくまみふよ」

え、え、なんか名前呼ばれてるんだけど

え、頭の中に響いて来てるんだけど?

え、お前誰よ?

「私は神だ」

あ、うん神なのね。

神ってエスパーみたいなのできたんだ、すげぇな。

てか本当にこんな小説みたいなことって現実で起きるんだ。

ていうかさ、神って普通自分で偉そうに

「私は神だ」

って言わないんじゃね?

まぁ、

知らんけど☆

え、で、神様はどうしてくれんの?

私に用事でも?

「用事があるからいるんだろ。お前しばくぞ」

え、神ってなんか思ってたんと違うんだけど。

でもこっちの方が親しみやすくて好きだわ。

「お前を島井涼に会わせてやろうと思ってな」

ん?

んんんんん?

え、え、え、え、え、今なんて言った⁉︎⁉︎

島井に?

会わせてくれる?

だと?

神じゃん!

え、ありがとうだわ、まじで。

「いや最後まで聞けい」

あ、はいはい聞きますぅ、

聞かせていただきますぅ。

島井に会わせてくれるならなんでも聞くわ☆

「島井涼に会わせる代わりに、彼の記憶から、お前は消える」

え、

「期間は一年。島井涼がお前のことを忘れずにいられるのは。そのあと、彼の記憶からお前は跡形もなく消える。塾にいたころの記憶も、一緒に消えるから、これ以降偶然会っても、彼はお前のことは一ミリも覚えていない」

そんな…

「この条件をのんで、島井涼に会うか?」

一年たったら忘れられちゃうんでしょ?

そんな条件悲しすぎるよ……。

「条件をのまなければ、でなければ、会う可能性は0.0001%くらいになる」

低すぎでしょ

「じゃあ条件をのむのか」

一年経ったら忘れられちゃう。

それは、悲しい。

でも、ずっと会えない方がいやだ。

島井の顔を、見れるなら。

もう、忘れられたって、いい。

「条件を、のみ、ます」

ぼそぼそと呟く。

「了解した。明日の大晦日に会わせてやろう」

明日って急すぎでしょ!

「そして一年後、年を越して、深夜0時になった瞬間、」

私は記憶から消えるんだね?

「お前は、島井涼の近くにいても、透けて別の場所に移動される」

え、強制なの?

「ああ。強制的に。そして、島井涼の記憶から、お前は消える」

わかったよ。

これを決めたのは私自身だし。

「それでは明日を楽しみにしていろ」

そう言って、神はどこかへ行ってしまった。

「明日か……」

島井に、やっと会える。

藍の寝顔を見ながら、島井の顔を思い出した。

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君が私を忘れてしまったとしても。 みずき @mizukipiano

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