一角獣のため息

石動 守

一角獣のため息

 はぁ……困ったもんだ。

一角獣ウニコルヌスはため息を吐く。

「なんでため息なんぞ、幸福しあわせが逃げて行くぞ」

 背に乗ってるのは、女冒険者

「しっかりして下さいよ。ちゃんと働かないと酒も飲めませんよ」

「こないだガッツリ稼げたから、しばらくは大丈夫だって」

 砂と岩の荒野を次の町に向かって……ぼちぼちと歩を進める。

「もう……餓死しても知りませんからね。そして、たまには私にも良い餌を下さいよ」

「その辺の草でも喰っとけば?」

「不味いんですよ。まぁ新鮮といえば新鮮ですけど」

「オレは草とか消化できんから、酒でカロリー稼いでるんだよ」

「身体壊しますよ」

「馬鹿! 大丈夫だって」

「馬鹿とは何ですか」

「馬に鹿みたく角が生えてるから、馬鹿だろ」

「馬は奇蹄目ウマ科、鹿は偶蹄目シカ科です。一緒にしないでください」

「でも、馬に角ないじゃん。鹿には立派な角が」

「私は一本角です。鹿は二本で枝分かれしてます」

「角には違いないじゃん」

「もういいです。私は、いちおう馬の一種になってますけどね」

 トボトボと人なき道を進む。

 はぁ……なんでこんな主の下に付いたんだろ

「ため息吐くと、幸福しあわせが逃げるぞ」

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一角獣のため息 石動 守 @mamoru_isurugi

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