第77話

 威勢よく端を発した台詞であったが、最後は尻すぼみになり、うつむいてしまう。

 うまく言えない自分がもどかしくて。

 無力な自分が、歯がゆくて。

 なんだか泣きたくなる。

 彼の力になろうというこのときさえめそめそと、自分はなにをやっているのだろう。

 ぐっと奥歯を噛み締めたとき、となりから、応えは響いた。


 

「頼みたいことが、一つある」



 いじいじと考えていた思考の一切が停止し、プレヌはその顔を上げる。



 どこか困ったように、それでも限りなく優しく、彼が微笑んでいた。



「少し疲れてるみたいだ。休ましてくれるか」

「……」



 ついに打ち明けられた、ごく小さな本音。

 だが正直複雑だった。

 放っておいてほしい、ということか。


 わずかに首をもたげる。

 仕方ない。

 それが彼の望みなら。

「わかったわ」

 目を閉じ小さくうなずいた直後。

「ありがと。じゃ、遠慮なく」

 芝生のこすれる音が響いて――膝の上になにかが舞い下りた。



 プレヌが目を開くと、目の前の自分の膝に頭を横たえロジェが目を閉じている。

 ひゅっと、思わず息を呑んだ。

 頼みたいことって、これ……!?

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