Act17.夢未 ~十三年前の事件~
第40話
その週末、わたしは栞町の市立図書館にいました。
過去の新聞が配下されているのは、二階の閲覧室。
館内の案内板で得た情報をもとに、階段を上っていきます。
十三年前の栞町。
そこで起きた事件に、星崎さんもかかわっていたらしい、というところまで、推理はいきついていました。
小夏さんには、これ以上深入りするなと言われたけれど。
大好きなお父さんにどうしてか殴られるようになって、呆然としていたわたしに気づいてくれた、彼はただ一人の人。
その彼がなにか苦しんでいるというのなら、放っておくという選択肢がとれるはずがありませんでした。
閲覧室で荷物をロッカーに預けると、新聞が配架されている奥の棚に歩いていきます。
うずたかく積み上げられた棚のなかから、十三年前の新聞の束をいくつか引っ張り出してくると、栞の園の施設と少しでも関連するものはないか、閲覧用の棚で、一月から順に、一枚ずつめくって探していきます。
長らく、そうしていたときです。
「なにか、特定の記事をお探しですか?」
ふと横を見ると、エプロンをつけた女性の司書さんが、話しかけてくれました。
「えっと、十三年前の、栞の園っていう施設に関連する記事を探していて」
「それでしたら」
司書さんが案内してくれたのは、閲覧室の真ん中部分にいくつか並んだ大きなパソコンの前でした。
司書さんが画面の「しりょうをさがす」という項目にカーソルをあわせてクリックし、続いて「ほんをさがす」「きちょうしょをさがす」の下の「しんぶんをさがす」という項目をクリックしたとき、思わず感嘆のため息が口から漏れ出るのを禁じえませんでした。
新聞社、発行年数、そしてキーワード。
様々な項目を画面に入れて、新聞を探し出せるようになっているようです。
「この新聞検索で、キーワードと年数を入れれば、絞り込めますよ」
なんてことでしょう。
わたしが一日がかりを覚悟していた作業が、いまどきの図書館では一瞬でできてしまうなんて。
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