第3話

「遅れてごめん!」

大好きな先輩は部活の用事、もう一人は財布を家に忘れ、取りに帰ったため遅刻してきた。

とはいえたったの15分。好きな人と会うためならそのくらいわけない。てか私服シンプルなのにかわいいなにそれずるい

正直めちゃくちゃに緊張していた私はいつも通りの緩めな二人の姿に多少ほっとしてもいた

合流し、店に入る。

この時私は15歳。自分のせいでカラオケに居れる時間が短くなってしまうのはとても申し訳なかった。


先輩2人が並んで座り、私はその向かいに座る。

そこから数分間、全員が渋って1曲目を入れられないでいた。

埒があかないので結局じゃんけんで負けた人が最初に歌うことになった

「じゃんけんぽい!」

負けたのは大好きな先輩。そこから時計回りだから私は2番手だ。

先輩はびっくりするほど歌がうまかった。点数以前に表現力がありまくりで圧倒された。自分の選曲を忘れるくらいに聞き惚れてしまった。

そして次に私の番

先輩方の前で歌う緊張にさっきの先輩のとんでもなく上手い歌が上乗せされてとんでもないプレッシャーを感じてしまっていた

案の定、声は震えた。頑張って音程だけでも合わせようとしたがかえって不自然に聞こえていたんだろうなぁと思う。

正直緊張しすぎてよく覚えていない

頭が真っ白な中、気付くと歌は終わって次の先輩の番になっていた。

この先輩いつもふわふわしててかわいいから歌声もかわいいんだろうなと思って聞いていたが、想像以上にかわいくて驚いた。

女子にしても高い声と歌い方があいまって破壊力しかなかった

ここであらためて”なんで私先輩方とカラオケきてるんだろう”と思ってしまったが、考えても過去に戻れるわけではないためその場を全力で楽しむことにした。

幸い3曲目には緊張もほぐれていつも通りの歌い方に戻っていた

そこからはあっという間だった

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後悔と君 藍町空 @imati_sora

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