第一映 初

メールに電話に声と文字

第1話

一生に一度、初めて。映像・音響会社に入社した。


「弊社」ロゴと同じ色、黒々したパーカーを社員一同、否新入社員一同ありありと着て絶賛研修の日々。


どうって?ストレス?あるあるもう全然アルアル大丈夫!




「社用携帯配布します」



はい、ありがとうございます、と口々に返事をして受け取っていくそれはガラケ「ガラパゴスだ…」


目に懐かしいそれだった。



懐かしいーと何かを口にする我々の中には「今時ガラケーかよ」という言葉を総務の手前若干の緊張感に包まれたこの――通称・【漆黒課】内の手前飲み込んだ同期男子、女子共にいた筈だ。


いつそこの背を向けた先輩が聞き耳を立てているかわからぬと手の中の白いガラパゴス携帯を軽く握りしめるなどしてみる。


誰かはこの部署じゃありませんようにと願いを込めたかもしれない。





そうして研修を終えた同期は私を含め見事全員




【漆黒課】




に配属された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

beat's of ACE 鳴神ハルコ @nalgamihalco

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る