第8話

「リム、」



また後ろで声がする。


部隊配給の、黒地の裏裾に"R"が掘られたタイを首に掛けたまま振り返ると、そこにはまだ幼い姫が不安を紅に隠して立っていた。



俺は床に、片膝をつく。




「何?」




「いつかリムも、私のことを忘れるときがくるんじゃないかな」




「来ないよ」



「わからない、もん」



「来ないよ」



「本当?」




「ああ」





そう頷いた俺の髪に彼女は触れて、俺はそれに身体を任せて、今度は彼女からの額のキスを受けた。

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AFTER WORD 鳴神ハルコ @nalgamihalco

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