第7話

逃れるかのようにベッドから身体を起こして冷たい床を歩き、クローゼットに手を掛ける。


中に綺麗に並べて掛けられたうちの一枚のシャツを手に取って、冷たい袖に腕を通した。



すん、と鼻を啜る音がした方へ、言い訳をするかのように「そんなことより人の布団に脚を勝手に滑り込ませる癖を直しなさい」と言う。



彼女は返事の代わりに「そんなことじゃないもの」と切り出した。


俺はそれに、再度溜め息をつきながらボタンを留めていく。




「三十、」


「?」



「三十人、撃ったの」




「……。ああ」




それはまるで他人事のように語られる。

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