Ⅸ 揺れる気持ち



「じゃあ、行ってきま……あれ? 瞳子ちゃんも出かけるの?」


 土曜日の今日。航生くんとのデートに向かう前に、わたしの部屋まで声をかけにきてくれた、綾乃ちゃん。


「う、うん。ちょっと、遠くの本屋さんにでも行きたいと思って」


 ちょうど、選んだ服に着替え終えたところだった。薄手の紺のニットに、白と黒のチェックのスカート。いつもの休日の服装と、それほどは変わらないと思うんだけれど。


「そうなんだ? どこの本屋さん?」


「えっと……渋谷、かな」


 とっさに、結城くんと待ち合わせた駅を正直に答えてしまった。


「綾乃ちゃんたちは?」


「んー……まだ、決まってないの。でも、新宿かな。航生くん、行きたい店があるって言ってたから」


「そっか」


 心の中で、ほっと息をつく。


「夕食の前には、帰るね」


「うん。わたしも。楽しんできてね」


 手を振って、綾乃ちゃんを階段まで見送ると、もう一度部屋に戻って、鏡をのぞき込んだ。


 綾乃ちゃん、可愛かったな。色の白い綾乃ちゃんにぴったりな雰囲気のチュールのスカートと、自然なメイクがよく似合ってた。それに比べて……。


 なんて、何を考えているんだろう? 結城くんは、わたしを元気づけようとしてくれていて、わたしは、その気持ちに甘えさせてもらおうとしてるだけなのに。


「……うん」


 時間を確認して、わたしも家を出た。保科くんとあんなことがあったのに、こうして外にも出られるのは、結城くんのおかげ。ちゃんと、感謝の気持ちを伝えなくちゃ。





 待ち合わせ場所の、渋谷の駅前のビルの入口。


「おは、よ」


 わたしに気づいて、iPod のイヤフォンを外した結城くんに、声をかけた。緊張して、声が上ずっているのが自分でもわかる。


「ごめんなさい。待たせちゃって」


 本人には言えないけれど、少し離れたところから、結城くんの姿に見入っちゃっていた。シンプルなプルオーバーのグレーのパーカーが、すごく似合っている。


「べつに」


 iPod をポケットに収めながら、答える結城くん。いつもどおりの結城くんで、ほっとしたんだけれど。


「……安易で悪いんだけど、映画でも観ないかと思って」


「あ、う、うん」


 さっきのは、訂正。心なしか……ううん、明らかに緊張した面持ちで口を開いた結城くんに、わたしの顔も熱くなる。


「観たい映画、あるの?」


 あとで感想を伝え合ったりできる映画は、会話をするのが苦手なわたしにとっても、ありがたい。きっと、気を遣ってくれているんだ。


「考えてたのは、『わらう分身』っていう、ドストエフスキー原作の最近の映画」


「ドストエフスキー?」


 そこで身を乗り出してしまう、わたし。


「原作のタイトル、わかる?」


 ドストエフスキーは、受験勉強が忙しくなる前に、何冊か読んだ。


「たしか、『二重人格』とか」


「読んだことある……! 嘘みたい、楽しみ」


「よかった。じゃあ、こっち」


 やっと、安心したように笑って、結城くんが歩き出す。そっか。わたしが文芸部に入っていることは、結城くんもよく知っているから。わたしのために、いろいろ考えてくれていることも伝わってくる。


「ん」


 映画館に着くと、チケットを差し出してくれた、結城くん。


「ありがとう。あの、お金……」


 忘れないうちにと、お財布を探していると。


「いいよ。今日は俺が、無理に誘ったんだし」


 素っ気ない口調で、結城くんがそんなことを言うから。


「無理に、だなんて」


 と、顔を上げた瞬間。


「きゃ……!」


 チャックが空いていたらしく、逆さまの状態で取り出したお財布のポケットの中から、何枚も硬貨が落ちて転がっていった。


「ごめんね。ちょっと、待っててね」


 結城くんにも恥をかかせるようなことをして、あきれられちゃう。転がっていった百円玉を、必死で追いかける。


「すみません。ごめんなさい」


 何度も人にぶつかりそうになりながらも、なんとかしっかり拾って、チケット売り場に戻った。


「本当に、ごめんなさ……」


 どんなふうに思われたか不安で、結城くんの顔を見る勇気がなかったんだけれど。


「ほら。これで全部だと思う」


 空いていた左手を取られて、拾い上げてくれていた残りの硬貨を握らされた。大きくて、温かい手。


「ありがとう」


 その体温に戸惑いながら、お礼を言うと。


「びっくりするほど、期待を裏切らないのな。なんか、瞳子相手に緊張してんのが、バカバカしくなってきた」


 言葉どおり、緩んだ表情を見せた、結城くん。


「行こう。始まる」


「うん。よろしく……お願い、します」


 結城くんのあとを追って、階段を降りていく。今までに行ったことのある映画館とは雰囲気が違う、無機質な造りの建物。結城くんがいなかったら、気後れしてしまって、入れなかっただろうな。なんだか、イロイッカイズツのライブのときみたい。





「わたし、あんな映画観たの、初めて。すごかったね」


 少し歩いたところにある、別の映画館に併設されたカフェに入って、一息ついたものの、興奮が冷めやらない。


「ああ。評判どおり、選曲がよかった。あ、来た」


 店員さんが運んできてくれたランチとドリンクに目をやってから、また店の内装に視線を移した。


 こういう雰囲気、何ていうのかな。昔のものと近未来的なものが、センスよく混在してる感じ。さっきの映画館もそうだったけれど、ライブの会場とはまた違った異空間。


「あの……」


「ん?」


 ミントティーに口をつけながら、結城くんがわたしを見る。


「こういうところ、女の子とよく来るの?」


「え?」


「あ……ううん!」


 思わず、変な聞き方しちゃった。


「おしゃれな場所、たくさん知ってるなと思って。だから」


 この状況で、するような質問じゃなかったよね。体裁をつくろうように、言い換えた。


「保科とだよ。たいてい」


「あ、そ、そっか」


 動揺を隠すために、わたしもアイスティーを手に取って。


「仲、いいもんね」


 そんな受け答えをしながら、意味もなく、ストローで氷をかき回してみたり。


「……女となんて、出かけたことないし」


「えっ?」


 手を止めて、目を見張った。


「なんて顔してるんだよ?」


 当然ながら、結城くんが嫌そうに反応している。


「だ、だって」


 たしかに、保科くんもあんなふうに言っていたけど、それにしても。


「海老名さんとか保科とかと違って、基本的に女が好きじゃないから。俺は」


「そう、なの?」


 その二人のことは、今は置いておいて。


「変な意味じゃなくて、そういうふうに見えないというか」


外面そとづらだけは完璧な、きつい姉ちゃんと生意気な妹がいて。昔から、女そのものに、いい印象を持ってない」


 面倒そうに、そんなことを言う。


「でも、告白されたこととか、たくさんあったでしょ?」


 同じ学校の子だけじゃなくて、道行く人からも声をかけられたりしていそう。


「あるけど、まともな女なんか見たことない。みんな同じような上目遣いの表情作ってて、怖いっていうか、引く」


「そ……そう、かな」


 なんとなく、わたしまで気まずくなって、下を向いた。最初、結城くんの愛想が悪かったのは、そういうわけだったんだ。


「あ。でもさ、結城くん」


 ふと、頭に浮かんだ人がいた。


「日菜さ……」


 日菜さんは、そういう女の人じゃないよね? そう、言いかけたんだけれど。


「え?」


「ごめん。何でもなかった」


 すぐに思い直して、首を振る。昨日、保科くんに言われたことを、思い出したから。わたしが、その名前を口に出すことすら、嫌だって。でも。


「日菜さん?」


 結城くんの耳には届いちゃっていたみたいで、けげんそうな顔で聞き返された。


「うん……」


 うつむいたまま、あいまいに笑うしかない。


「そりゃあ、いい人だと思うけど。綺麗だし。でも、歳が上すぎて、俺にはよくわからない」


「あの……!」


 話が、保科くんの方に行ってしまいそう。


「結城くんのお姉さんと妹さんも、綺麗な人なんだろうね」


 少し強引だったかもしれないけれど、話題を変える。


「結城くんに似てたら、すごく美人だよね。絶対」


 保科くんのことを探っているみたいになるところだった。何より、今は考えるのがつらい。好かれてなくて、よかっただなんて。自分の好きな人から、そんなふうに言われてしまったこと、悪い夢と思いたい。


「……似てはいるけど」


 さっきのわたしの言葉に、微妙な表情でつぶやいた、結城くん。


「タチの悪い姉妹だよ。小さい頃は、無理矢理女装とかさせられたし。今でも俺が嫌がってるの知ってて、緑ちゃん、緑ちゃんって」


「そ……そうなんだ?」


 心の底から嫌そうなのは伝わってくるけれど、あまりに仲がよさそうで、つい笑いそうになってしまう。


「何だよ?」


「や、何でも……あ、でも、そっか」


 それで、結城くんは、自分の名前が好きじゃないんだ。


「あ?」


 やっぱり、大人っぽい外見に反して、結城くんは子供みたいで可愛いと感じてしまうときがある。


「ううん。似合うのになと思って」


 中身は男の子っぽくて、背も高いけれど、綺麗で繊細で少し中性的にも見える、結城くんに。


「緑くんって、すごくいい名前なのに。緑くん……」


「…………」


「えっと、何?」


 結城くんが、じっと見ている。


「まんざら、見当外れでもないのかもな。保科の言ってたこと」


「何の話?」


「何でもない」


 意味深なため息をついたあと、わたしが食べ終わったのを確認して、結城くんが立ち上がった。


「あの……結城くん?」


「そろそろ、帰る? 帰るなら、駅まで送っていくけど」


 そのまま店の外に出ると、振り返って聞いてきた、結城くん。気を悪くさせちゃったのかな。


「わたし……」


 正直な気持ちは、帰りたくない。もっともっと、結城くんと話をしていたいけど、でも……と、そのとき。


「俺は、まだ一緒にいたいけど」


 そう、ぼそりと漏らした、結城くんに。


「わたしも!」


 我を忘れて、声を上げてしまって。


「あ、その……」


 気まずい思いで、口ごもっていたんだけれど。


「じゃあ、タワーレコードに行きたいから、つき合って」


「うん。行ってみたい」


 少しぶっきらぼうな態度で先に歩き出した、結城くんの後ろ姿を見るだけで、結城くんがどんな顔をしているのかがわかって、それだけで幸せな気持ちになったの。





「これ、買ってくる」


「行ってらっしゃい」


 試聴機の前で、軽く手を振った。結城くんがレジに持っていったのと同じ、可愛い水玉模様のジャケットのCDを手に取ってみる。


 日本のインディーズのコンピレーション・アルバムだって、結城くんが言ってた。最初と最後に収録されてる、モノレール・ミュージックというバンドが、特に気になるって。


 わたしには違いがよくわからないんだけれど、イロイッカイズツのCDは自主制作だとかで、こういう大型店には流通しないらしい。いつかは、イロイッカイズツも、こんなふうに店頭に並ぶようになるのかな。


 そうしたら、いちばんよろこぶのは、結城くんだったりして。そんなことを考えながら、試聴用の大きなヘッドフォンをはめて、再生ボタンを押してみた。洋楽みたいな凝った音に、甘いボーカル。たしかに、人気が出そうな……。


「何、無視してるんだよ? さっきから、呼んでるだろ?」


「…………!」


 突然、乱暴に外された、ヘッドフォン。


「今日、ノロ子が渋谷に来てるっていうのは知ってたけど、こんなところにいるとはな」


 一瞬、あっけに取られてしまった。だって、こんなところで航生くんに会うなんて、わたしも思ってもみなかった。


「瞳子ちゃん」


 うれしそうに、綾乃ちゃんも駆け寄ってくる。「びっくりした。予定変更して、渋谷に来てみたら、本当に瞳子ちゃんに会えちゃうなんて」


「う……うん、そうだね」


 ちらりと、結城くんのいる方に視線をやった。ちょうど会計を済ませたところみたいで、黄色いレジ袋を受け取っている。


「ねえ、もしかして」


 気づくと、レジの方向を見ていた、綾乃ちゃん。


「あそこにいるの、結城くんじゃない?」


「えっ? あ……」


 とっさに、返答も思いつかず、目を泳がせているうち。


「悪い。待たせて」


 結城くんが、わたしの前に戻ってきた。当然ながら、綾乃ちゃんと航生くんを見て、けげんそうな表情。


「あの……今、偶然会ったの。綾乃ちゃんと、中学校が同じだった航生くん。こっちは結城くん、です」


 とりあえず、この状況には触れないで、名前だけを伝えたんだけれど。


「ふーん」


 にやにやしつつ、見定めるような目を結城くんに向ける、航生くん。前に、保科くんと鉢合わせしたときみたいに、居心地の悪い空気。


「瞳子ちゃん、一人で本屋さんに行くようなこと、言ってたけど」


 やがて、いつもの優しい調子で、綾乃ちゃんが口を開いた。


「結城くんとデートだったんだ?」


「ち、違うよ……!」


 結城くんに悪い。その思いだけで、大きく首を振ると。


「べつに、違わないだろ?」


 開き直ったような態度で、結城くんがつぶやいた。わたしと綾乃ちゃん、そして、航生くんも同時に結城くんを見る。


「行こう、瞳子」


「あ、うん」


 強引に腕を引っ張られて、エスカレーターの方に向かう。


「ごめんね、綾乃ちゃん。また、あとで」


 振り返って、綾乃ちゃんに声をかけたら、ひやかすような笑顔で手を振ってくれていたけれど……。





「ごめん」


 店の外で、ぱっと手を離した結城くんの声で、我に返った。


「ううん。平気」


 そうだ、ずっと腕をつかまれていたんだっけ。今になって、急に意識してしまう。


「なんか、あせってるのかも」


「そ、う……?」


 決まり悪そうに息をついた結城くんを前に、今までに経験したことのない、体が宙に浮くようなドキドキした感覚を味わっていた。


「いや、ありがとう。本当」


「ううん……! わたしの方が、ありがとうだから」


 改めて、お礼まで言ってもらえて、わたしもあわてて頭を下げようとしたら。


「これ」


「…………?」


 結城くんが持っていた、黄色いレジ袋を差し出された。


「興味ありそうだったし、ジャケットも可愛いとか言ってたから、二枚買っておいた」


「さっきの……」


 綾乃ちゃんたちに会う前、わたしが試聴していたCDだ。


「聴かなかったら、適当に部屋に置いといて」


「ううん! 絶対、聴くよ。ゆっくり、最後まで聴いてみたかったの」


 思わず、袋を胸に抱きしめた。


「ありがとう。すごく、うれしい」


「よかった」


 今は、わたしと視線を合わせて、笑みを見せてくれている目の前の結城くんのことしか、考えられなくなっている。綾乃ちゃんのことも、航生くんのことも。そして、好きだったはずの保科くんのことさえも、頭から離れるほどに。





 家に戻ると早速、自分の部屋で結城くんにもらったCDを再生した。イロイッカイズツを聴くのをつらく感じていたせいもあって、音楽に触れるのは、ひさしぶり。それでも、初めて聴く曲なのに、すんなりと心になじむ。


「モノレール・ミュージック、だっけ」


 結城くんが好きだというものを、ひとつでも多く知りたい気持ちで、最初と最後のモノレール・ミュージックというバンドの曲は、特に丁寧に聴いてみる。


 あまり意味のなさそうな英語の歌詞で、クールな曲調だけを意識すると、とっつきにくい印象。それなのに、アンバランスにも感じる甘い声とメロディーが、音楽そのものをポップに仕立てていて、何度でも聴きたくなってしまうのが不思議。


 イロイッカイズツとは違った魅力があって、結城くんが本当に音楽が好きなことが、またわかった気がする。そういえば、結城くんは、自分で曲を作ったりはしないのかな……。


「瞳子ちゃん。ちょっと、いい?」


 ドアの向こうから、綾乃ちゃんの声。綾乃ちゃんも帰ってきたんだ。


「おかえりなさ……」


「瞳子ちゃん! 教えてくれないなんて、ひどいよー。わたし、びっくりしちゃった」


 ドアを開けると、はしゃいだ声を上げる、綾乃ちゃん。


「ね、どういうこと? どういうこと? お願い。教えて?」


「えっと……」


 わたしが戸惑う中、綾乃ちゃんは階下のおばさんを気にしつつ、そっとドアを閉めた。


「ね? もちろん、お母さんにも黙ってるし」


「や、ううん! そんなんじゃないの、本当に」


 今はまだ、言えることは何もない。


「そんなんじゃないってことは、結城くんの片想い? 瞳子ちゃんのこと、本当に好きそうだったよね、結城くん。さすがに、わかっちゃった。今日の態度で」


「それは………」


 ごまかす言葉も思い浮かばず、うつむくしかなかった。


「すごいなあ、瞳子ちゃん。周りにいた人たち、みんなが結城くんのことを見てたよ」


「そ……そう?」


 やっぱり、わたしは、その場で嘘を考えるのが苦手。こんな受け答えをしたら、全部肯定してるも同じなのに。


「航生くんだって、目立ってたじゃない」


 なんとか方向を変えようと、航生くんの名前を出すと。


「中学校の中ではね。レベルが違うよ。瞳子ちゃんだって、わかってるくせに」


 にっこりと笑った綾乃ちゃんに、笑い返すわけにもいかなくて、あいまいに首を傾けた。


「瞳子ちゃんは、好きじゃないの? 結城くんのこと」


 わたしに、えらそうなことは言えない。ただ、今はまだ、そっとしておいてほしい。そんな気持ちで、口を開けずにいたんだけれど。


「そっか。瞳子ちゃんは、保科くんが好きなんだもんね」


「…………!」


 綾乃ちゃんにも、見透かされていた。


「結城くん、そのことは知ってるの?」


「それは……うん」


 昔から、綾乃ちゃんは、人の話を引き出していくのが上手。


「そっかあ」


 さっきから、気まずくてしようがない。だって、わたし自身も信じられないことなのに。


「瞳子ちゃんの方に、その気がないんなら」


「何?」


 綾乃ちゃんの言葉に、顔を上げた。


「わたしが頑張ってみようかな。結城くんのこと」


「え……?」


「ふふ。嘘に決まってるでしょ? 今の瞳子ちゃんの顔」


 余裕のないわたしの顔を見て、おかしそうに笑う、綾乃ちゃん。


「綾乃、瞳子ちゃん。ごはんの用意ができたわよ」


 階段の下からは、おばさんがわたしたちを呼んでくれる声。


「はーい。今日、わたしの好きな春菊と胡桃くるみのサラダなんだよね。行こ、瞳子ちゃん」


「うん……」


 綾乃ちゃんのあとについて、わたしも階段を下りていく。何ともいえない不安が胸に残る。さっきのは、綾乃ちゃんの冗談だよね?



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