世界最強だけどあまりに制約が多すぎる俺の元になぜか美少女たちが集まってくる。

kunimatsu

第1話 異世界転移と美女と制約

身の丈ほどもある大剣を片手で軽々と振るい巨大な刀を振り回し、蘇った古代の龍を一刀両断する。


断罪したのは漆黒の鎧と兜に身を包んだ大男。


龍は血も流さずまるで最初から居なかったかのように跡形もなく消えた。


「あの、ありがとうございます!」


何事もなく帰ろうとする男の後ろ姿に声をかけたのは美しい鎧に身を包んだ女性だ。


振り返らずにただ右手を軽く上げると左右に振る。


別れの挨拶だ。


「待ってください。なにかお礼を、このあと一緒にお食事でも。」


惚れられたな。


吊り橋効果とでもいうのか突如現れた龍に命を奪われかけたところに漆黒の騎士が現れ命を救ってくれたのだ。


無理もない。


「気にしないでくれ。見返りなんかなくても君がピンチの時はすぐに駆け付ける。」


そう言うと男は真っ黒な瘴気を身にまとうとその場から消えた。


「か、かっこいい方でしたわ…。」


そうして頬を赤く染め呟く女性と静寂だけが残された。










「あー!綺麗な女性だったなー!!一緒に食事に行きたかったなー!!!!」


「はいはい。そうやって暴れないでください。」


そこにはふかふかのベッドに寝そべって暴れる先ほどの男より小さい少年と美しい黒い髪と瞳を持ち、メイド服に身を包んだ女性がいた。


その女性はベッドにもぐりこむと少年にキスをする。


もちろん唇に。


「いいじゃないですか?私がいるんだから。」


「確かにそうだけどさ。ご飯くらい一緒にいってもいいだろ?」


「ダメです。これで満足してください。」


そう言って女性は少年を豊満な胸に抱きよせる。


少年は回顧する。


最初は幸せだと思った。


不慮の事故に巻き込まれこの世界に転移してきた少年は世界の秩序を守るための力と美しい女性を授かった。


しかしそれがこんなことになるなんて。


神の制約、めんどくさい。


「神の代理人ってさ。制約がめちゃくちゃ多いよね。」


「それはもちろん。神の代理人ですから。でなければそれほどの力はこの世界には強大すぎます。」


さきほど倒した龍も本来ならばこの世界の全てが力を合わせても勝てるかどうかわからないほどの相手だ。


それを一撃で葬り去るほどの力が少年にはある。


「はい。制約その一、世界に深く干渉してはいけません。」


「龍は倒していいのに?」


「あれはこの世界に存在してはいけないものが不運にも顕現してしまった存在。ああいったイレギュラーを排除するのが神の代理人の役目ですから。」


「じゃあパトロールは?世界の秩序を守るための。」


「それならば。いいかもしれませんが。」


そう言いながら抱きしめる力を強くする。


もしかしたら彼女は少年にここから出て行って欲しくないだけなのかもしれない。


「よし!それじゃあ早速行ってくる。」


「無茶をしては強制的にここに連れ戻されます。最悪の場合力の剥奪と死が与えられますから気を付けてくださいね。」


「怖いこと言わないでよ。大丈夫。ちょっと行って来るだけだからさ。」


少年には夢があった。


異世界転移のお約束。ハーレムを作り楽しくスローライフ。


「まっ。しょせん夢だけどね。」


司るは破壊と死をもたらす黒。


神の代理人であり力と制約をその身に受ける少年は夢に向かい一小さな歩を踏み出した。


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世界最強だけどあまりに制約が多すぎる俺の元になぜか美少女たちが集まってくる。 kunimatsu @kuninaito

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