プロローグ中編
「上出君のことが好きなんだよね///。」
「……。」
そんな気はしてた。真っ白に燃え尽きたよ俺は。
「ふーん、まぁそれはいいけどところで日向君ー?」
半分フラれた状態の俺に対して何の用なんだよ。俺の初恋がぁ〜。
「うっ、なんだよにっし〜、この哀れな俺になんの用だ?」
「?」
いいよね、鈍感ってさ。宮ノ上がなろう小説の主人公に見えてきた。
「あっれー、日向はもっちゃんのことが好きなんじゃなかったっけ〜?」
「え?西、お前本当に何言ってんの?」
いやいや、嘘だろ。ここで何にも言わなかったら宮ノ上にバレることはなかったのに。
「いやいや〜、ね〜。ここでもっちゃんに気持ち伝えなくていいの〜?僕は知ってるんだよ〜?逃げずに頑張りなよ。」
真っ白に燃え尽きて頭も真っ白になりそう。っていうかなってる。
「日向、もしかして私のこと好きなの?」
宮ノ上、気づいてなかったんだ。そう考えると悲しくなる。
「…」
ショックや自分の今の状況の哀れさに言葉が出なかった。
……ーー……
中2から中3になってクラス替えが行われた。
俺は陰キャでスポーツや勉強が出来るようなスペックはなく、毎日アニメを見て過ごしていた。
クラス替えから一心、新たなことに挑戦するようなこともなく俺の学校生活は過ぎ去るだけのはずだった。
はずだったのだ……。
俺には少なからず親友と言える友達は居なくとも話合える友達は居た。
その中で唯一の女友達であったにっしーこと西谷 清夏が隣だった。
話はできるし、孤立することはない。
問題は俺の斜め前、黒髪で肩ぐらいまで伸ばした髪が特徴的な女の子がいた。
一目惚れだったのかもしれない。
陰キャの一目惚れというのはただ遠くからバレないように見て、鑑賞するだけである。
ただ、今回に限っては違っていた。
にっしーが宮ノ上としゃべり出し、徐々に俺にも話を振られることが増えてきたのだ。
そうして、にっしーのおかげで接点が出来き、たまに二人でしゃべる機会も出てきた。
彼女は誰の目からみても可愛く、俺達陰キャからもどの層からも少し敬遠されていた。
もちろん、悪い意味ではなく、みんな気になってはいた。
それは俺に取って追い風になった。
「宮ノ上さんって普段何してんの?」
「宮ノ上さんって辞めてよ〜。なんか堅苦しいしさ。」
「え、うん。そっちがいいならいいけどさ。」
あまり感情には出さかったけど、今でも覚えている。
相当嬉しかったから。
そして、宮ノ上って呼ぶのもやめてとは言われたけど、やめれなかったのも。
ここでもう少し距離を詰めれば変わっていたのかもしれない。
この時の俺は知らないけど。
「で、普段何してるか?だったよね?習い事以外だとまぁ、アニメとかドラマとか見たりするよ?辻下君は〜?」
こんなに陰キャに優しい人類がいるものなのか。
「俺もアニメ見るよ。今期のアニメとかどう?見てる?今期のアニメいいよね〜。」
嬉しくて自然と早口になる。
それでも宮ノ上は微笑んで優しく見てくれている。
この笑顔が見れるだけで、俺は嬉しい。
いや、俺は宮ノ上に見ていて欲しい。
この気持ちは求め過ぎなのかもしれない。
でも、それでも、この時の俺は心の中で宮ノ上と付き合えるかもと思っていた。
今思うと、宮ノ上は、ただただ俺に話を合わせてくれていて、俺としゃべってくれていたのはただただ周りが宮ノ上を敬遠していたからだったのだろう。
落ち着いて考えるとそうに決まっている。
ただ、その時の俺にそんな冷静な気持ちは残っていなかった。
……ーー……
「そっか、日向は私のこと好きだった…」
俺は宮ノ上の言葉を遮った。最後まで言われたら自分で言ってないのと一緒だし、こういう時にも俺のことを日向と呼んでくれた宮ノ上に申し訳なくて。
「俺、お前のことが好きだッ。いつも俺に優しくしてくれて、話も聞いてくれて。でも、それが叶わないのも知ってる。それでも、返事が聞きたい。俺は俺の気持ちを整理したいんだ。」
フラれたので理想の彼氏になってみます〜妹助けたら懐かれたんですけどどうしたいいですか〜 @eremennto
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