フラれた俺は俺のことをフった不遇の妹の救世主になれるのか

@eremennto

プロローグ

「私好きな人がいるんだよねー。」


「そうなんや、どんな人なんー?」


学生時代、こういったやりとりは何回でも聞くことになるんだろう。

俺、辻下つじした 日向ひなたは現在、精神崩壊を迎えている。


その理由?言わなくても察してくれ。

俺は好きな人がいると唐突に告白した宮ノ上 桃々もものことが好きなのだ。


心臓がバクバク言っている。もし、好きな人が自分だったらという葛藤と自分じゃなかったらという不安。

これで精神が崩壊しないほうがおかしいというものだ。


現在俺たち4人は、掲示板で喋りながらzoomを用いてしゃべっていた。

掲示板で知り合った人達だけで通話をするのは危険かもしれないが、1人を除いて同じ学校なので大丈夫だと思っている。


「でー?、どんな人なん?その好きな人。」


この、エセ関西人野郎(女)の西谷 清夏せいかは人の気持ちも知らずに、先程好きな人がいると語った宮ノ上 桃々を詰めている。


「えー、まぁうん。どんな人って言われてもなー///。」


「どうしたん?そんなに照れちゃって〜。まさか、こんな所にいたりして〜笑。」


こいつ、絶対にわかって言ってるな。半笑いだし。

っていうか、自分から言い出して恥ずかしがるってどういうことだよーー!


「んー、そんなことよりゲームしようぜ。俺別にお前らの話聞いてても面白くねぇし。おーい、日向お前もそう思うよな?」


俺の葛藤をよそに自分勝手なやつだ。こいつの名前は確か上出かみで 雷貴らいき

この上出は面識は無いのであまりわからないが、最近通話してると宮ノ上となかつむまじくしているから余計に腹が立つ。


「うーん。まぁ、俺も宮ノ上の話も気になるけどゲームの方がしたいかn…」


「僕は、もっちゃんの話の方が気になるけどなー。」


こいつ、俺の話を遮りやがって。俺が宮ノ上のこと好きだって知ってるからっていくらなんでも知りたがり過ぎだろ。

少々不思議がっていた俺だったがすぐに清夏の思惑を知ることになる。


ピコンッ


LICEというメッセージアプリの通知の音。

そこには『清夏』という名前が表示されており、


『僕は、どう転んでも損しないからね。もっちゃんがたとえ君が好きでも、他が好きでもね』


とのこと。

あいつ、畜生だわ。うん、違いない。


「あっそ。まぁ、俺は他の友達とゲームしてくるわ。じゃ。」


上出が通話から出たと同時に清夏が声を上げた。


「邪魔者はいなくなったし、そろそろ僕はもっちゃんの好きな人が知りたいんだけどなー。」


「しょうがないなー、せいちゃんがそんなに言うなら…。私、…。」






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