Hな映画館事件は、時間をさかのぼるミステリー!もしくは、ビミョーに気の毒ドラマ

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 3人のドタバタ劇場を、お楽しみください。なぜだろう?ホント、あの人がかわいそうでならないんですけれど

「 Hな映画事件」

はじまり、はじまり。

本当にかわいそうなのは、だれ?

 暗がりかんちがいには、気を付けよう。

 時間を、さかのぼる。

 11:00―。

  映画関係の仕事をしている女性 Cさんとお付き合いをしている男A君が、 Cさんをランチにさそう。

 が、失敗。

「ごめんなさい。今は、そういう気分じゃないの」

 12:00―。

  1人で、カップラーメンをすする A君。

「ちぇっ…。気晴らしに、 Hな映画でも観にいくかな」

 すごいね、その気晴らしの方法。

「あいつ…。他の男と、浮気でもしているんじゃないか?」

 13:00―。

  A君は、町外れのあるシネマコンプレックスに到着。

「いらっしゃいませ。楽しんでいってください」

 ニッコリほほ笑む、映画館スタッフのB君。

  A君が観る映画は、決めていた。

 映画好きな友だちに紹介されていた、ピンクな映画。

「今は、男 1人。こういうときだから観られるんだと割り切れば、良い」

 映画が、はじまった。

「ふひい…。エロイなあ…で、え?」

 瞬間、彼の心臓が止まりそうになる。

「お前ら!何やってるんだ!」

 スクリーンに叫ぶ、A君。

Cさんそっくりの女性が、知らない男とイチャイチャしているシーンが流れていたのだ。

  17:00―。

帰宅したA君、 Cさんに問い詰める。

「お前、映画俳優と浮気しているだろ!」

 Cさんと、ケンカがはじまる。

2人は、別々に食事。

 24:00―。

 怒り、夜の町をさまよいはじめた A君。

「…あ、あいつ!」

たまたま道を歩いていた、映画館スタッフの B君を発見。

B君を殺害。

 帰宅。

Cさんに、謝罪。

「…俺さ」

「何?」

「お前に、あやまりたいんだ」

「え、何?」

「変な男にからまれるお前が、かわいそうでならないんだ!」

「…何、言っているの?」

「だから…!お前が、かわいそうでならないんだ!」

「私が、かわいそう?」

「ピンクな映画の女優の仕事なんか、もうやめないか?」

「え?私、そんなのやっていないけど」

「あれ?」

「私、やっていないけど」

「だって、映画関係の仕事を…」

「私、映画雑誌を売るバイトをしているだけだけど」

 翌日、6:00ころ―。

 路上で、映画館で出たごみを捨てに歩いていたB君が、死体で発見された。

 本当にかわいそうなのは、この人っぽい。

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