ノーベル賞・ノベル賞

はくすや

今年のノーベル文学賞は誰の手に?

 ネットのニュース一覧を何気なく見て「ノベル賞」の字を見つける。小説の公募に応募したことはない素人物書きではあるが、何の「ノベル賞」かと気になって、注意深く見ると、「ノベル賞」ではなく「ノーベル賞」の記事だった。

 いや、そんな見間違いしないだろ――というツッコミはよして欲しい。

 毎日、ノベル、ノベル、ノベル――という文字を見ていれば、見間違いもするだろう。知らんけど。


 さて、今年も「ノーベル賞」が授与される季節となった。10月7日に医学生理学賞が決まっている。

 この手の学会・業界に縁のない人間にとっては、どこの誰とか、何の研究とかさっぱりわからない。

 しかし毎年一分野に対して一人もしくは一グループにしか授与されない稀少な賞であり、それを賜るのは大変な名誉であることは理解できる。

 そしてまた実際に授与される研究者の背後には数えきれないほどのノーベル賞級の研究があることも想像できる。ノーベル賞をとってもおかしくない研究者が、実際にノーベル賞を授与される研究者の100倍以上いるのではないか。


 星の数ほどある候補者の中からどのような基準で選んでいるのか、選考にかかわるスウェーデンのアカデミー以外の者にはわからない。あらかじめ何名かに候補者が絞られて公表されることもない。とるかもしれない候補というのは各メディアが面白おかしくとりあげるだけだ。


 そしてそれは文学賞にも言える。


 理系の賞に比べれば、文学賞は本を読むひとにはなじみがある。一度は読んだことのある作家が候補として挙がっているに違いない。そう思って英ブックメーカーの予想を見てみた。何度もいうが候補者というものは公的には発表されない。


 賭け率の高い上位の顔ぶれを見たのだが、はっきり言って全然知らない(笑)

 それはお前の読書量が足りないからだろうとお叱りをうけそうだ。


 1位は中国の女性作家で残雪

 2位は日本の村上春樹

 3位が複数いて(オッズが同値なのだろう)

 セサル・アイラ アルゼンチン

 エルシ・ソティロプル ギリシャ

 ジェラルド・マーネイン オーストラリア

 マーガレット・アトウッド カナダ

 トマス・ピンチョン 米国


 村上春樹は毎年話題になるし、実際に何冊か読んだことがあるから知っているが、あとはトマス・ピンチョンくらいしか知らない。情けないことだが。

 トマス・ピンチョンも『重力の虹』をいつか読んでみたいと思っているのだが、文庫本がなく、単行本だと上下2冊で1万円を超えてしまう。先日ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』を1万超えで買ったばかりなのでしばらくは手を出せない。ということでまだ未読だ(笑)


 ちょっと調べてみたら、残雪、マーガレット・アトウッド、トマス・ピンチョン以外は日本語に翻訳された本がほとんどなさそうだ。

 まだまだ日本語に翻訳されていない世界的文学がたくさんあるということなのだろう。


 そう考えると、このブックメーカーの候補もあてにならないかもしれない。

 リストには80名くらい作家の名があるそうで、日本の作家では金井美恵子と多和田葉子が挙がっていた。

 しかも文学賞といってもノベルに限らず、過去には詩や戯曲ジャンルからも受賞者が出ている。2016年にはボブ・ディランが受賞している。


 今年は誰が受賞するのか。


 日本人作家に受賞してもらいたい気持ちもあるが、これまで三島由紀夫、安部公房、井上靖など受賞が期待されて受賞しなかった作家は数多いる。毎年のように名前が出るのは村上春樹に限った話ではない。

 文学賞においても、一人の受賞者の背後に100名以上の候補がいるということだ。


 それでも敢えて野次馬根性で予想してみよう。


 上に挙がった作家の中ではトマス・ピンチョンが一推しだ。何より『重力の虹』を読んでみたいではないか。ノーベル賞をとったら文庫化されるかな。いや、売り切れないうちに単行本を1万円出して買うべきか。

 日本の作家では、多和田葉子を推す。ドイツ在住で、ドイツ語でも執筆している異色の作家だ。理系のノーベル賞も異国で研究する日本人がとったりしているから文学賞でもその可能性がある――んじゃないか。

 ちなみに私が読んだのは二人称小説『容疑者の夜行列車』、『旅をする裸の眼』くらいなので偉そうなことは言えない(笑)


 さて、どうなるか?

 今年もまた、知らない作家、翻訳されていない作家が受賞するのだろうか。




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