28話 舞依と萌花の襲来


明日からまた一週間がスタートする、微妙に憂鬱な日曜日。

社会人を経験した元大人である裕哉でさえも、普段なら遊びに行く元気もなく体を休める日に使っていた。いや、これは社会人を経験したからこそかもしれないが。


しかし今日はいつもとは違った。

理由は言わなくてもわかるだろう。

裕哉は絶賛、昨日あった沙也加との行為の余韻に耽っていた。


「沙也加とやったのか俺・・・・」


「男子から人気があってまさに美少女な沙也加と・・・」


「舞衣と萌花には悪いとは思っている・・・でも、正直可愛かったなぁ・・・・俺、逆レ〇プなんて同人誌でしか見たことなかったのに」


普段なら退屈しのぎにする読書やゲームも手につかず、思い出すのは恋人の舞衣と萌花・・・・ではなく沙也加の顔、身体、匂い、そして声。


やる前はただ美少女な同級生で、自分には舞衣と萌花がいるから気になる子でもなく普通に可愛い女子という認識だった。


しかしやはり裕哉も男。

一度関係を持ってしまえば、しかも沙也加ほどの美少女なら、意識するなという方が無理な話だ。


あの後家に帰ってからはなかなか寝付けず、眠ろうとする息子を起こして酷使したのは仕方がないだろう。・・・絶対誰にも言えないが。



「・・・・腹減った」


「もう12時か・・・今日はチャーハンでいいかな」



沙也加のことを考えながらゴロゴロする俺。

空腹を感じて時計を見れば既に時刻は正午を回っていた。


両親は買い物に出かけてていない。

なので適当にチャーハンでも食べよう。


そうしてベッドから起き上がり昼食の準備をしようと動き始めたところで、家のチャイムが鳴った。



モニターを見ればそこには舞衣と萌花の2人。

今日は遊ぶ予定はなかったはずだ。


・・・・バレたか?いや、でも昨日の今日だし・・・

・・・・いや、そもそも俺は舞衣と萌花が好きなんだ。なら打ち明けて償わないといけないだろ・・?


想定外の来訪に内心焦りを覚える。

しかし出ないわけにもいかない。それに、自分から打ち明けた方がまだ誠実だろう。


戦々恐々とした思いで鍵を開けて2人を家に迎える。


「「・・・・」」


「・・・えっと、あ!そういえば、お昼はもう食べ――」


―—ガシっ


挨拶だけを交わして以降無言の2人。

俺の悪い予感が当たっている気がする。


うん、ごめんなさいしよう。


だけど、いきなり打ち明けるのはあれだから、まずは様子見として世間話でも・・・ちょうどお昼を食べようとしていたのでそれを話題にしようとしたが、2人に体を拘束された。


「——えっと、舞衣、萌花・・・?」


「「ひろ君!まずは部屋に行こっ!(^^)」」


「お、おう・・・」


目が笑っていない2人の笑顔。そして、身体を抓られる感覚。

少しの希望を抱いて悪あがきをしようとする前に、俺は舞衣と萌花に拘束され自室へと運ばれていった。



・・・・ああ、完全にバレてるわこれ









「ごめんなさい俺が悪かったです!舞衣と萌花がいながら沙也加とその・・・エッチなことをしてしまいました!」


逃げるのは悪手。

言い訳も悪手。

そう考えた俺は部屋に着いてすぐに土下座で謝罪をした。


「何が悪かったか説明してほしいな?」


「は、はい!私は舞衣と萌花という存在がありながら沙也加と肉〇関係を持ってしまいました!」


裁判官舞衣と助手萌花が俺の前に立って質問をする。

2人は俺の答えに納得するように頷いた。


そして、萌花が証拠品のような形で俺と沙也加があられもない姿で同衾している写真を提示する。


「えっ」


思わず言葉を失った。

その写真に全く身に覚えがなかった。


・・・・いや何これ?!はぁ?!



―—や、やりやがったなあの女?!

これ薬持った時のやつだろ?!不可抗力すぎる!!

あいつもしかして某c国の女スパイだったりする??この手腕、才能がありすぎて怖いんだが?!


ツッコミは置いておいて、正直に話していく。



「これは俺が薬を盛られたときに取られたものだと、はい、思います」


「うん、そうみたいだねー」


「沙也加ちゃんにそう聞いた」



信じてくれたみたいで助かった。

下手したら学校中に広まる可能性が・・・・えっよく考えれば、これが拡散される可能性があるってやばすぎないか?俺の人生終わりじゃね?・・・なるべく早急に削除をお願いしたい所存でございます。


今回は先に話を通してくれた沙也加には感謝だな。

俺が一人で説明しなくちゃいけなかったら大変だっただろう。

普段の信頼ならあると思っているけど、男女関係となれば別だからなぁ。


まあもとはと言えば仕出かしたのも沙也加なんだけど。

なんというマッチポンプ。


問い詰めは続く。


「ほかに弁明はある?」


「ほかに・・・・ですか」


「え?ないの?」


ありえない。

2人から感じる蔑みのような視線。


俺は急ぎ頭をフル回転させて回答を探す。


「・・・・・・あっ」


そして、俺が完全に悪いと言えることを見落としていたことに気付いた。

今考えても、ここを指摘されたらぐうの音もでなかった。


「さ、沙也加に襲われた後、沙也加はそこで満足していたんですが、俺が自分の欲望を抑えきれず・・・・自分から沙也加に襲い掛かてしまいましたっ!」


我ながら都合の悪いことは沙也加のせいにしていたことに気付いた。

確かに最初に襲ってきたのは沙也加だけど、あの後俺からガツガツと求めてしまっていた。もし沙也加で終わっていたら今よりは軽傷だった・・・はず。


自分の下半身の情けなさに羞恥心を覚えながらそう正直に話す。

幸い、沙也加がある程度話してくれていたので少し安心感があった。


「「・・・・え?」」


「・・・え?」


・・・どうやら選択肢を間違えたようだ。

部屋の空気が10度くらい下がった。



「自分から襲ったの?襲われたんじゃなくて・・?」


「あ、いや、その・・・」


「ひろ君・・?嘘は許さないからね・・?」


「ひぃ!あ、いや、沙也加は繋がっただけで満足していたんですが、男にとってはそこからが本番でして・・・・はい・・・我慢できずに・・・・」


「「さいてー」」


ゲシゲシと土下座する俺の後頭部を蹴る2人。

この瞬間、俺は生まれて初めてサッカーボールの気持ちを理解することができた。




「——あのさ、萌花ちゃん?」


「——うん、たぶん私も同じこと考えているよ、舞衣ちゃん」



「「お仕置きが必要だねっ!」」



そして、無慈悲な判決が下った。

2人は楽しそうな表情をしていた。



「私からでいいー?」


「しょうがない、萌花は後でいいよ」


頭上で繰り広げられる物騒な会話。

これから一体何をされるのか、と俺は震えていた。


萌花が部屋を出ていくのを合図に顔を上げた俺は、目の前に立つ初恋の少女を見つめた。









★★★

あとがき



舞衣たちの想定していた弁明

・彼女がいながら断りもなく2人っきりで遊んでしまいました。

・相手が好意を持っていると薄々察していながら、警戒心がなかった。

・関係を持った後に直ぐに舞衣たちに連絡をしなかった。


この辺でしょうか。

何はともあれ作者の独断と偏見で裕哉はギルティなので関係ないですが。(醜い嫉妬)


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逆行転生したので両想いだった子に告白して人生やり直す! やまいし @yamaishi_913

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