第42話

「……花びらみたいだな」



え?



呟いた彼の顔を見つめる。



御園生さんの指し示す先には、私の鎖骨があって……。



「……まさか、」



「まさか、なに?」



鞄の中から鏡を取り出して、覗き込んだ。



鎖骨の下辺りに、散り落ちた桜の花びら……ではなく!



彼に付けられたキスマークがくっきりとついていた。



「御園生さんっ!」



「ん~?悪い悪い」



にやにやと笑いながら、私の鎖骨を見つめる御園生さん。



ちっとも悪いなんて思ってない彼を睨んで、しばらくはスタンドカラーの服しか着れないと、私は泣きたくなった。

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嘘 時々 恋 【番外編】 真弥 @09013562894

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