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女に不自由してる訳じゃないし、女子高生が好きって訳でもない。
つまり教え子の彼女と付き合ったのは、「
初めて彼女に告白されたのは、彼女が一年生の時。
その時担任でもなかった俺は、彼女の告白に正直驚いた。
憧れや便乗でワーワー言ってる女子生徒の中にはいなかった彼女が。
それまでただの一度たりとも俺に対しての好意に気付かせなかった彼女が、俺を好きだと言ったから。
だから、気になってしまったんだと思う。
意表を突いた彼女の告白を、他の女子生徒からの告白の時同様にやんわりと断ったあと、何となく彼女を目で追うようになってしまった。
彼女は友達にすら俺への気持ちを言わず、俺を好きだという素振りを表には出さない。
それでも彼女は諦める事なく、何度も俺に告白をしてきた。
いつも泣きそうな表情で、縋るような目を向けて、俺に「好き」と言い続けた。
絆されたんだと思う。
気付けば彼女の事ばかりを考えていた。
そして彼女が友達にさえ自分の気持ちを言わない事で、「秘密」の関係を築けるような気がした。
俺にして欲しい事の大半を我慢して、俺の傍に居続けようとする。
その我慢を、そろそろ少し和らげてやりたい。
彼女の我儘を全て聞くのは無理だけど、少しなら聞いてやりたい。
何故なら、完全に踏み込んで逃げられなくなった俺は、彼女が逃げないように努力しなきゃならないのだから。
社の近く。
なるべく目立たないように暗闇に身を隠して待っている俺の視線の先に、こっちに向かって走ってくる彼女の姿。
俺を見る時、彼女はいつも同じ表情をしてる。
今にも泣きそうな表情で、縋るような目で俺を見る。
今、こっちに駆け寄ってくる彼女の表情もそう。
いつもと同じ表情をしてる。
その表情を、いつかいっぱいの笑顔にしてやりたいと思う。
その為の努力をしていこうと思う。
なんて事を思う時点で、俺は完全に彼女にハマっているんだろう。
いつから?
さあな。
そんな事はもうどうでもいい。
「渋谷先生!」
俺の名を呼び真っ直ぐに駆け寄ってくる彼女が、愛おしくて堪らない。
カレの事情 完
カノジョとカレの恋愛事情 ユウ @wildbeast_yuu
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