第7話 この人だれ?

ある日帝都エーデケリアの公園で。

「天気いいね、こういう時は散歩するに限るなぁ」

マリアンヌとフェリーチェが、公園内を散策していた。


大きな木があちこちにあって、芝生がキレイに整えられ、所々にあるベンチには

老若男女くつろいでいる。馬車ではコーヒーやケーキを売っているようで。


「おいしいね、このケーキ」

「チョコレートケーキでしょ?私大好きなのよねぇ」


すると公園の端っこの森の中の散策路が何やら騒がしい

「なんだろうねぇ」

「行ってみようか?」好奇心旺盛なマリアンヌが「行こ!」

「ちょっと待って、あ!これご馳走さまでした」



公園内の小道を歩いて行くと、やがて森に入り、遊歩道があるのですけど、

その一角、木陰のベンチに一人の女性?らしき人が座っているのです。

回りには公園に来ていた人たちが、遠巻きにしています。


その人は髪の毛は金色、耳は丸いのでエルフ族ではなさそう。

紺色の羽織るものを着て、白っぽいシャツには赤いリボンがつけられているの。

羽織っていたモノと同じ色のスカートは短くて、ひざのはるか上。

でも顔はカワイイ。この街にいる女子でも比較にならないくらいカワイイ。

黒っぽいいろのバッグを肩にかけて、ベンチに座って何か小さな板のようなものを

触っていますけど。どこか表情はなにか呆然としている感じ・・・


遠巻きにしている人たちも声をかけていいものか悩んでいるみたいです。


「どうするフェリーチェ?」

「うーんどうしよう、憲兵隊に通報した方がいいかな?」

「ちょっと待って、話してみるよ」


ツカツカッとその人に近寄るマリアンヌ。

「あのぉ~~~」

「なに?」

(言葉が解るみたいだ)

「あなたは何処から来たのですか?」


「ってか、ここどこ?」

「ここは帝都エーデケリアの公園よ」

「帝都?エーケデリア?どこそれ?そんな街有ったかなぁ?マルキューとかない?」

「マルキュー?なんですそれ?」

「マルキュー知らないの?ウケるんですけど!!」

キャッキャッと大笑いする彼女を見て

(この国の人じゃないなぁ)とフェリーチェもマリアンヌもそう思ったようで・・・

「あの、お名前は?」

「あーうち?おかもとひなこだよ」

「どこから来たのですか?」


「あのさぁ、学校行く途中で、横断歩道渡ろうと待ってたら、

 いきなり ”ひなこ!何それ!光ってるんですけど!”っていうわけ、うわぁってさ

 で気付いたら、ここに居たんだよね。ってかあんた誰?」

あまりの陽キャ感にどう対応していいか解らないマリアンヌとフェリーチェ。

「あ、あの私マリアンヌって言います」

「フェリーチェです」

「うちとタメかな?」

「えっとタメって?」

「あー同い年ってことなんだけど、うちは17歳だよ」

「私たちは16歳です」

「あ、そうなの?だけどさ、ここどこ?」

「どこって・・・ピツロニア帝国の都エーケデリアですけど?」

「二ホンじゃないってこと?どうしよ!学校行けないじゃん!どうすんのよ!」

「いやぁどうすんのと言われても・・・」


「フェリーチェさ、この人行くところないみたいだから、あんたの家泊めなよ」

「あ、あたしんち?ん、まぁあたししか居ないし、あの行くとこあります?」

「ある訳ないっしょ?いきなり訳わかんね、異世界来ちゃたんだしさぁ」

「ですよねぇ、じゃあウチ来ますか?」

「あーね!泊めてくれんの?やったー!とりま頼むわ」


と言うことで異世界から来た人を止めることになったのですが。


第7話 完


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界は今日も穏やかです。たまに忙しいですが。 とねてつVer2 @83012086

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画