第6話 最強騎士に恋の予感?

アルトザルミアでの依頼が終ってしばらくしたら・・・

帝都エーデケリアのギルド事務所に集まっていたパーティメンバーの下へ


「レッドストームの関係者さんいるかな?」

「はい、ここに」とアルベルトが手を上げると

手紙配達人のリッカから「帝国王宮環境管理局」と書かれた封書が手渡されて、

「なにこれ?」とメンバーが不審な面持ちでマルガレーテが開封するのを見てた。


「なになに?」脳みそが筋肉と化しているアルベルトが読み始めようとしたけど

「なんて書いてあるか解らん!」といってラインハルトに見せたの。

「じゃあ、読みますね」

アルトザルミアでの仕事で帝国騎士団のエミーリア大佐に話したことが

王宮に行ったらしく、皇帝陛下自らが、あの森を帝国環境保護地としたと書いて

あったんだそうで。「あの森が帝国の直轄保護地になったんだってさ」

「おお!そうなんだ、エミーリア大佐が話してくれたんだね」「そうみたい」

「あ、まだ先があるね。帝国騎士師団から騎士を派遣し警備するって」

「すごいね!エミーリア大佐には足を向けて寝れないよね」

「これで、あのゲルベロスたちも静かになってくれるといいけど」


アルトザルミアからの連絡では、

手紙通り、1個分隊が週替わりで詰所を作って管理をしていると。

さすが皇帝陛下の御威光は素晴らしい!エミーリア大佐もさすがエリート騎士だなぁ

ゲルベロスたちも静かになったし、ミヤスミレの盗掘もなく、

その栽培方法が確立されてアルトザルミアの近郊でも栽培が始まったそうで。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


いつもの様にローザ、マルガレーテといっしょにカフェでパフェを頂いていると、

「フェリーチェ!」

「あ、マリアンヌ!元気だった?」

「ええ、お店のパフェにね、ミヤスミレの実が乗ってたよ。ちょっとお高めだけど」


ミヤスミレの実を食べたからか、マリアンヌの眼精疲労は少し改善されたみたい。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さて、しばらくは依頼仕事も少なく、しずかなギルド事務所。

冒険者たちも比較的、のんびりとしているようです。


「静かだな」

「そうですね、アルベルトは訓練に行かないの?」

「ん?そうだな行ってくるかな。皆はどうするんだ?」

「フェリーチェ?どこか行く?」

「どうしようかなぁ・・・私もアルベルトと一緒に槍の訓練に行こうかな」


メンバーはそれぞれ訓練や、小さな仕事に行ったりするようで。



「お!フェリーチェも行くか!」

「うん、じゃあいっしょに行こうよ」


騎士訓練場にアルベルトが先着していてトレーニングを開始していました。

わたしはその後に続いて、藁の人形を相手に槍遣いを繰り返し


「ああ!いい汗かいたなぁ」

アルベルトはまだトレーニング中、槍から今度は大鉈でやっています。


「どうだ?まだやるか?」

「きょうはこれで帰ります」

「そうか、気をつけて帰れよ」


アルベルトはまだ、トレーニングして帰るようです。


が・・・


どうも怪しい。

最近、やたらと一人で帰りたがるし、前は遊びに行っていい?と聞くと

「ああ、お出で。いつでもいいよ」と言っていたのに、

「今日はスマン、野暮用だ」とか言って遊んでくれないし。


これは何かある・・・


「アルベルトの様子が、ちょっと変なのよねぇ」

いつものカフェでマルガレーテとローザに、アルベルトのことを話してたんですが。

「もしかして、アルベルトに彼女が出来たとか?」

「あーそれな。もしかすっと家に女連れ込んでいるとかさ」

「ローザは直撃だなぁwww」

「だって、男が一人暮らしとかさ、何かあるって思わね?」

アルベルトも、そろそろ彼女の一人や二人いてもおかしくない年齢なんだが・・・

「だけどさぁ、あの人、重騎士としてギルドの宝って言われているくらいだからさ、

 ”ぜひウチの娘を”とか”わたしの妹を、是非!”とか”行き遅れた娘を”とかさ、

 そんな事があっても不思議じゃなくね?」ローザが言う事ももっともなんですが。


「ねぇフェリーチェ、マルガレーテもさ」

「なに?」

「アルベルトの家をこっそり見に行かね?」

「えーマズいよ、それ」

「あたし見に行きたいなぁ・・・アルベルトの家に呼ばれたこと無いもん!」

ローザとマルガレーテは、アルベルトの家を”のぞき”に行くらしいのだが・・・



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「う~~~ん、なんか居そうで居ない、ってかさぁアルベルトって家でも

 何だかトレーニングしているんだよねぇ。筋肉トレーニングっていうの?あれ」

「そうなの、彼女が居るっていう訳じゃないのね?」

「いやぁそれが解らんのよ。居る感じもするしさ、だってあの人、料理できないし。

 外食してるって言うけど、ギルドのお仕事だけで三度の食事を外食って

 難しくね?」

「だよねぇ・・・不思議だよな。ラインハルトはどうしてんの?」

「あ?俺。実家暮らしだからね、気にしたこと無いよ食事とかさ」

「皆はどうしてんの?ローザもマルガレーテも」

「うちら?ギルドの寮にいるよ。寮母さんが食事作ってくれてる。美味いよ!」

まぁ美味いかどうかは、いまは関係ないのだが・・・


「そうするとアルベルトの私生活は謎だよなぁ」

「でしょ?うまく尻尾を掴ませないっつーかさ、そんな感じするよね」




アルベルトの謎の私生活を何とか暴こうと四苦八苦するローザとマルガレーテ。

私生活くらいはほっといてあげれば?とは思うものの。でも気になる・・・



「ちょっと!聞いて聞いて!!!」

ローザと、いつものカフェでお茶していると、マリアンヌが息せき切って入ってきて


「ア、アル、アルベルトが!」

「どした?」

「女と歩いていた!!!!」

「なんだとぉぉぉぉ!!!!!!」

「マジ?」

「まじ」


ローザはなんだか、やったるでぇ!って顔してんのよねぇ・・・何をやるんだか?


「次の仕事依頼まで、ちょっと時間あるよねぇ」

「う、ん、まぁ最近ちょっと暇だし」

「よぉ~~~し!アルベルトの謎の私生活を暴いてやる!」

「ちょっと止しなよ」

「面白そうだからさぁ、少しだけよw」

ヒマだからって、メンバーの私生活を覗き見るのは、どうかと思うんだけど・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そんなことが有って数日後。

ギルド事務所にいくと、アルベルトが見たことのない女性と一緒に居るんですよね。

「やぁフェリーチェにマルガレーテも元気そうだな」

「アルベルトもトレーニングしてるの?」

「ああ、毎日やってるよ!そうだ紹介しておこう。ちょっと?」

「・・・こんにちは・・・」とだけ言ってアルベルトの後ろに隠れてしまって。

「さぁ、この人たちは仲間だから大丈夫だよ」

「・・・」

「すまんな、ちょっと人見知りでね。カレア、こっちへ来なさい」

カレアと呼ばれた少女はアルベルトに促されて、前に出てきたのですが・・・

黒い髪をツインテールにしていて可愛らしい顔つき、大きなアルベルトとは極端に

小さなその少女は、白いワンピースに赤いリボンと前掛けをしている。

「・・・カ・・レ・ア・・・です」

「フェリーチェです」「マルガレーテよ」

「この子は?」


アルベルトがやたらとニヤけているんですよねぇ・・・なんだかキモいんですけど。

「カレアは俺の兄の子供だ」

兄が居たのは知っていたけど、子供が・・・いるのね。

「なんで一緒に居るの?」

「帝国音楽学校に最近入学したんでね、俺の家に下宿してるのさ」

音楽学校は、この国の女の子なら一度は憧れる学校で、卒業すると帝室音楽団に入団

して定期的な公演や皇帝陛下がお客様を招くときに、演奏や舞踏をお見せしたりする

この国の音楽業界ではトップレベルの学校なのです。

「すごいね、なかなか入学できないよ」

入学試験は倍率が50倍を超える事もある、

この国では最難関の教育機関の一つなのですが、受験には家柄も問われるらしい。


「帝都に出てきて間もないしさ、いろいろなところを見て回っているんだよ」

アルベルトがいっしょなら、変な男に声かけられるようなことは無いだろうし。

ローザが女と歩いていたって言うのは、彼女、カレアのことだろうなぁ。

と思ってたら・・・

ローザが入って来るなり「あ!この子だ!あの時見たのは!」やっぱりそうなのね。


「ローザ?この子はアルベルトの親戚だってよ」

「えっ!そうなの・・・なぁ~~だ、そうだったの。変に勘繰っちゃて悪かったね

 アルベルト」

「いやぁ良いってことよ。じゃあカレアをよろしくな」

「・・よ・よろ・・・よろしく・・お・お願いします・・・」

結構な人見知りなのに、大丈夫かなぁと他人事ながら思うのですが

「俺と一緒の時は普通に話しするんだけ。みんなでカレアの人見知りを直してよ」

「そう言う事ならお安い御用だよ、なっ」

そんなこと言っちゃっていいの?って心配なんですけど。ローザはやる気だし。

まぁ良いっか



第6話 完










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