DEAR LOVER
蒼開襟
第1話
眠れない夜に電話をくれてありがとう。
そっけない態度であなたの言葉を遮ってしまったけど
とても嬉しかったの。
携帯電話のショートメッセージならこんなに簡単に
優しい言葉が書けるのに、わたしの唇は嘘つきね。
次のデートの約束、どこに何時なんて言うから
からかうつもりで言ってしまったの、そんなに早く会いたいのって。
あなたは会いたいよって言ったから
私は心臓が止まってしまうかと思った。
耳にあなたの優しい声が残ってる。
ねえ、会いたいな。
どうしてかな。私ね、すごく、あなたが好きなの。
携帯電話のメッセージも何度も何度も書き直して
もうずっと送れずにいる。
あなたは同じ気持ちかしら。同じように迷ったりするかしら。
着信音が鳴り響いてる。
帰ってきてから充電したから切れるまではずっと鳴り続けるんだろうか?
僕はベットの上で暗い部屋の中、机の上に置かれた携帯電話を見つめている。
また着信音がして液晶が光った。
いっそ気にせず寝てしまおうかと横になってみたものの、着信音がやけに耳について離れない。
見るんじゃなかった。
ショートメッセージは愛の言葉で溢れていた。
また着信音だ。少しずつ間隔が早くなっている気がする。いや、気のせいか?
僕は壁にもたれてクッションを体と足の間に挟んだ。
まただ、また着信音だ。
どんなスピードで書き込んでいる?
まただ。着信音は途切れることなく続いてる。
僕は目をぎゅっと閉じて唇を噛む。
・・・お前誰だよ。
DEAR LOVER 蒼開襟 @aoisyatuD
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