第2話 この魔王城本当に大丈夫ですか?

翌日、俺は「魔王になった曲者」ということで、俺の首を持っていけば王国から500億ガドラ(通貨)の報酬が貰えることになったらしい。つまり、俺は賞金首のなっていたのだ。


いやふざけんな! 魔王を倒したのは俺だぞ!? なんで賞金首にならなきゃいけないんだ!

魔王になっちゃったけど!!!


そんな感じでプンスカプンスカ怒っていると、ある女性がこちらへ向かって来た。

......なんかちょっと殺気感じるんですけど。


確か名前は「ウラ・ギールティ」だっけかな?


俺が倒した魔王の時......いや、結構長生きしてるらしく、四代目魔王の生きてた時から秘書をやっていたって言っていた気が......


「魔王様、本日の業務です」


そう言って彼女が俺に渡してきたのは、なんかすっごい書き込められている紙。


内容を簡単に言おう。


まず、近隣の村への支援......いや、優しいな!?魔王がすることじゃねえよ!!!


とりま次、筋トレ13時間......いやなんでやねん。長すぎるねん。


次、支援した村に多額の借金を負わせる......さっきの優しさどこ行った!?


最後、城周辺の警備......っておぉぉい! これ魔王のやる仕事じゃないよね!? ただの俺に対する嫌がらせだよね!?


「魔王様? どうされましたか?」


「いや、なんでも……」


俺がそう言うと、ウラは黙る。


……え?何この空気。


こんな空気が数秒続いたが、ウラが口を開く。


「魔王様、今なんと……?」


「え?だからなんでも……」


すると急に冷たい目になって━━━━━━━━


「ならさっさと動いてくれます? こちらも仕事があるので」


......うん、なんか急に冷たくなるの酷くない? 魔王だよ? 一応。認めたくないけど。


しかもあの人帰ったよ。


......え? これから何しろと???


一応近隣の村に支援するのが最初の仕事らしいが、どうやって支援するん? 俺、ここに来たの昨日よ? しかも魔王討伐のために。


とりあえず、今の俺は魔王なんだし誰か呼んでみてもいいだろう。


「おーい!! 誰かいないのか!!」


俺が廊下まで歩いて行き、そう叫ぶと、俺の目の前に黒い霧が漂い始め━━━━


「お呼びですかな??」


そこにいたのは、ローブを着た爺さんだった。


いや誰!? 知らない人なんですけど!? いやまぁこの際なんでもいいけど!!!


「初仕事なんだ、どうやってし仕事すればいいのか分からなくてね、手伝ってくれるか?」


魔王の俺がそういうんだ、イエスしか返事は来ないはず━━━━━━━


「は? まず名前を聞くだろ普通」


謎の爺さんはそう言う。しかも、なんかめちゃくちゃ虚無の顔で。


「あ......ああ、悪かったな。名前はなんて言うんだ?」


「もう一度だけ言う、名前を聞け!」


え? なに? 聞いたよね?


ちょっと頭の中の整理をしていると、突然━━━━━━━


「……ッ!! 舐めとるのかァァァァ!!」


謎の爺さんはブチギレた。


いやもう訳分からん。


「小僧ォォォ!! まずは名を名乗れと言うのが普通じゃろがァァ!!」


えぇぇ……もう言ったよね?


この後、俺はこの爺さんのせいで一日を潰してしまったのである。

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【不定期】魔王倒したのに魔物が消えない!?〜実は勇者から真の魔王になってました〜 ばろんさん @Baron-san

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