魔王倒したのに魔物が消えない!?〜実は勇者から真の魔王になってました〜

ばろんさん

第1話 勇者から真の魔王になってました

「いや、待ってくれ!!! 俺の話を聞けばわかる!!! 勇者よ、話を聞いてくれ!!!」


魔王「ユウ・シャダッターノ」が、命乞いをする。


本当に魔王なのか? そう疑いたくなる程の弱キャラにしか見えない。


俺、マオ・ウ・シンーノは今、魔王の命を握っている。


長い時間がかかった......魔王を倒すため、仲間たちと日々奮闘し、ようやく魔王城までたどり着くことが出来た!


......ん?


そういえば、仲間って俺にいたっけ???


......そんなことはどうでもいい。


この命乞いをすることしか出来ない哀れな魔王を今ここで、倒すだけだ!





魔王はあっけなく死んだ。


俺の剣「ショキ・ソード」の一閃で、魔王は真っ二つに斬られてしまった。


「これで......この国の国民全員が幸せに暮らせる......! 悪の根源を倒したことで、最高の名声と富に......ぐふふふふ!!! じゃなかった、危ない危ない」


俺の真の目撃が金??? なわけが無いだろう?


......金が目当てだけど━━━━━


とにかく、俺は魔王討伐の証である魔王が身につけていた赤いペンダントを盗る。


そのペンダントを懐に入れた途端━━━━


「魔王様!!!!!!」


とても響きがいい魔王城で、これだけ多くの魔物が一斉に声を上げたのだ。


うるさくないはずがない。


............え?魔物?


「魔王様!!!!!!」


一斉に色々な魔物が、俺の目の前で忠誠を誓うための酒を差し出してきた。


ただ、俺は勇者なのだ。こんな魔物の戯言など、聞いていられるわけが無い。


ショキ・ソードで目の前の魔物を斬ろうとするが、その一撃は空振りに終わった。いや、「すり抜けた」と言った方が正しい。


「何!? なぜ攻撃が当たらない!?」


「魔王様、味方を攻撃することはできませぬ」


......いや魔王じゃなくて勇者だ。


それだけは絶対に変わらない! 俺は王様から巨額に報酬金を受け取るんだ!!!


そう思い、自身の役職カードを確認すると、そこには━━━━━


「真の魔王」


━━━━━そう書いてあった。


......いやいやいや、は?


は?は?は?


理解が追いつけないまま、俺は魔王生活を始めることになった。



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