私、メリーさんなの! 私――の家に行くね!!

 ある日の夜のこと。

 自室にて、椅子に座っている斉藤悟志さいとう/さとしが勉強机に置かれたノートパソコンで動画を見ていると、スマホが鳴る。

 悟志は恐る恐る電話に出てみた。


『私、メリーさんなの。今、あなたの街にいるの』

「め、メリーさん?」


 メリーさんって、あの有名なホラー話に登場するメリーさんか?


 悟志は心臓の鼓動を高めつつ、スマホ画面の方を下にするように机に置いた。


 すると、また電話がかかってくる。


『私、メリーさんなの。あなたの家の近くにいるの』


 悟志はドキッとし、椅子から立ち上がる。

 閉めていたカーテンを開け、窓の外を確認した。


 だ、誰もいないよな……。


 悟志は焦り、再びスマホ画面を確認する。

 がしかし、非通知着信であり、誰からの連絡なのかもわからない。


 また数秒後、電話がかかって来た。


『私、メリーさんなの。あなたの家の玄関にいるの。アレ……開かない』

「ん?」


 スマホから聞こえてくる、その気の抜けた声に聞き覚えがあった。


 悟志は二階の自室から出て、一階の玄関まで向かう。

 玄関の鍵を解除し、扉を開けてみた。


 玄関先に佇んでいたのは、悟志よりも一回り小さい女の子。

 案屋敷あんやしきこよみは、十四歳ほど年の離れた姉の子供であり、こよみは今、小学五年生なのだ。


「ど、どうしてここまで来たの? 今、夜七時だよ」

「だって、お母さんが、お兄ちゃんの家で過ごせって。それで、この前スマホを買って貰ったの。ほら」


 こよみは、ピンク色のスマホを見せてくる。


「それで、メリーさんの真似を」

「うん。今日からよろしくね! お兄ちゃん!」

「俺、全然、姉から聞いてなかったんだけどな。まあ、いいよ、入りなよ」


 その日から悟志は、姉の子供であるこよみと共に数日間過ごすのだった。

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