しっとりとした情緒に満ちた作品です。 幽霊屋敷が出てきますが、おどろおどろしさはなく、主人公も淡々と事態を受け止めるので、恐怖の対象としては扱われません。 たとえ幽霊がいたとしても、そこは紛れもなく「自分の家」。大切な家族と過ごした「思い出の場所」。 そうした事実を忘れることなく、主人公がそこに出没していた霊たちの行く末を見据える展開は、穏やかで優しいものだと感じました。 読んだ後に優しい気持ちになれる、素敵な物語でした。