第6話 ゾガリ・ショック
「木星圏で発見された巨大不明人型生物、我々は"ゾガリ"と名付けた。君たちの活躍によって、サンプルを手に入れることができた。君の部下の方々については、非常に残念に思っている。」
「へぇ、情報部っていたって、御高くとまった奴らばっかりじゃないんだな。」
ヴァニーは収容されたエイコーマルの応接室にて、スミスと二人で話していた。スミスの部下二人を席から外したということは、秘密の会話なのだろう。まだこれ以上何かに巻き込もうということなのだろうか。まだ地球には帰れそうもないだろう。
「ノーチラス、撃沈。第2小隊、2番機4番機、大破。残りは引き揚げさせます。」
ゾガリは、木星基地にもいるようで、地表からの光線によって、ノーチラスは墜とされてしまった。大きな損傷を負ったSFも、木星の重力に引かれるのみで、たすかることはできないだろう。個体ではなく群体であるという事実は、全員に重くのしかかった。
「つまりは、地球に襲来するということもあるのか。」
ノーチラス撃沈の知らせを聞いてスミスとヴァニーは応接室で話をしていた。
「すぐにではないだろうが、可能性は0じゃない。少なくとも今のままでは木星開発は絶望的だろうな。」
スミスの見立ては辛いものだった。がしかし、ひどく現実味を帯びていた。
「じゃあ、俺はアトラスに戻るから、また機会があれば。そのときは秘密兵器とやらをお目にかかれればいいがな。」
ネビュラ級空母アトラス
「一緒に動くことになった。よろしく頼む。俺がアンブラーの小隊に入ることになった。隊長は君だ。」
「そうかい、最新鋭機に乗ってるからにはけつについてないで頭張ってほしいけどな。」
統合されることになったSF中隊の、ヴァニーとファンスだったが、ファンスはどうも、ヴァニーのことが気に入らないらしい。それは、空軍と海軍というだけではないだろう。ヴァニー自身も贔屓されている自覚はあった。
ディスカバリー作戦 五月山 明夫 @sastukiyama
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