第四話 全員集合

 そう藤原が言い終えると同時に、また扉が開いた。


 二人の女だ。ボーイッシュな短髪の女と、ボブヘアの女。気まずそうな所を見るに、途中ばったり合ったのだろう。


「おー、おまえらも新入生か!後五人だな」


 七楽が元気よく叫ぶと、藤原の時のようにこっちへと手招きをした。


「あっと……何か、一人は海外からの生徒らしくて。この学園に来るまで時間がかかるから十人って言ったんじゃないかな?」


 答えない七楽の代わりに皇が恐る恐るそう説明すると、藤原は納得したような顔をしていた。


「わりぃわりぃ代わりに答えてくれてありがとな。確か隣国だったはずだぜ」


 七楽が申し訳なさそうにそういうと、いつの間にか新たな二人は席に座っていた。


 後始まるまでは二十分だ。そろそろみんなが揃っても良い頃だが……。


「あの……えっと……、僕もそっち行っていいかな……?」


 前の方から声がしたかと思えば、そこには小柄な男が座っていた。皇が驚きで言葉を失っていると、その男は弱々しく語り始めた。


「最初から一番乗りでいたんだけど……みんな、僕のこと無視して進めちゃうから、その……」


 最初から?俺はともかく、俺以外の四人全員が気づかなかったのか?そんな疑問を皇が抱いていると、藤原が口を開いた。


「悪かったわね、貴方もこっちに来たら?」


 嫌味っぽいことを言うかと思ったが、案外優しいところもあるのかもしれない。


「皆さーん‼︎おっはよーう!」


「ちょっと、りおん!」


 慌ただしく入ってきたのは男女の二人組だ。知り合いなのだろうか?


「みんな!うちらもそこ行くっすね〜‼︎」


 これで今集まった人数は八人だ。あとの二人はどうしたのだろう。後開始まで五分。入学式ならばこのくらいに来るのが常識だと思うが。


「そういやね、うちの女友達が生徒代表に選ばれたらしくて〜。入学式で最初何かやる為に今は来れないーって言ってたよ」


 なるほど、どうやら今来た女は交友関係が広いようだ。ともかく、これで残すは後一人だ。


「後一人は……男子四人、女子五人ってことは、男子かしら?」


 藤原さんがそういうと、またも扉がゆっくりと開いた。


「……」


 無言のままズコズコと入って来た男は、一番後ろの席で足を組むと、そのまま動かなくなってしまった。




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