第2話凶報
風の様な音が反響し低くだが荘厳に響く。
それはまるで有名な楽団の演奏のような、怪物の腹の中のような。
聞く人によりその感想は異なるが皆が共通して感じるものーーーー畏怖ーーーー
それは
階層を下る階段に着くと必ず聞こえる音。冒険者たちはこの音を[
「あと少しで階層が変わるぞ」
筋骨隆々な立派な
「いよいよ5層ね」
細身だがしなやかでムダのない綺麗な
「ここから気を引き締めなきゃにゃー」
猫耳ほピコピコとさせて周囲に警戒を配る小柄な
「ほっほっほ、あまり気をはるでない。ギルド
髭を手ぐしでほぐしながら右手にもつ瓢箪を1口煽る
4人は
普段は中層で迷宮にしかない資源の採取や
それらをギルドに持って帰還し査定を受けた後換金といった流れ。
だが今回はギルドからの直接依頼。目標は5層にて新たに見つかったフロアの調査だ。
「まぁ5層だ、そんなに気負うこともない」
「だけどなーだんちょー、なんかここ変な感じがするにー」
猫耳をピコピコとさせて周囲を警戒する
「ふふふ、猫ちゃんはいつも警戒しすぎよ」
「そうじゃな、警戒も悪くは無いがたまには肩の力も抜かんと気が滅入るぞ」
ガハハと豪快に笑い、手を口元に当て上品に。
全く正反対の
「そうかにゃーー、なーんかイヤーな感じがするんだよー」
そんな2人に笑われ少し不満げな
猛烈な悪寒。野生に最も近く、どの種族よりも勘が働く
(やばい!この階層に何かいる!え!?ここ4層と5層の間よね???)
まるで深層への
迷宮自信の生きている気配が濃くなったとでも言うべきか。原始的恐怖。本能が警鐘を鳴らす。
「ボス!ここからなんかやばい!」
背中が汗ばみ握った拳に力が入る。
「あぁ?そうか?確かになんか変な感じだが……」
(まぁ、コイツは優秀なんだがなぁ)
どうにも心配性の気があることは否めない。だが
「よし、分かっーーーーー」
迷宮の壁に大きな亀裂が入りその音と揺れが
中からは2つの巨大な何かがこちらを覗いていた。
「んなぁ!」
彼はその何かから咄嗟に距離を置く。
「おい、旦那!ありゃなんじゃ!ここは初層じゃろ!しかも4層と5層の間にあんなバケモンが出てくるとは聞いとらんぞ!」
突然の事態に
「あんなの俺も知らねーよ!リーフ!何か分からねぇか!」
「ここにあのような
「やるしか……ねぇな」
恐らく敵は格上。迷宮の壁を砕きながらこちらへと進行してくる。
体調は約3m弱、体毛は赤黒く黒い角が2本。
ミノタウロスは通常、中層35階に出てくる中級危険種。普段正面からの戦闘は避けて奇襲を取り相手のペースを崩して戦う。
硬い毛皮は生半可な武器では傷すらつかずその怪力で逆にやられてしまうか可能性もあるのだ。
「クソだりぃぜコイツはよぉ」
大きなため息をつきながら背中に背負っている大剣を引き抜く。
彼の身長と同じくらいの大きさであろう鉄塊を身体の正面へと構えた。
「リーフはそのまま俺らに
指示を出すために一瞬目を離す。ほんの数秒その瞬間
(あれ、あいつらなんで下に)
「ボス!!!」
「【
ドワーフのスキル詠唱と共に
金属同士が激しくぶつかる音が響きミノタウロスは階段から下の階へと吹き飛ばされる。
『ウォオオオォオオオオオオオアアアアアアアアア』
飛ばされたミノタウロスの咆哮が迷宮内に反響しビリビリと空気がゆれた。
「まずいぞ!エルフ!ねこ!」
迷宮主クラスの咆哮。
「最悪だわ」
「最悪だぞ」
治癒魔法をかけながら
「「「
迷宮《ダンジョン》は歌う 山茶 @Niiro-anrisia
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。迷宮《ダンジョン》は歌うの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます