第1話 (異性から)嫌われヒロインと空気主人公
六月。
この時期にしては痛すぎるほどまっすぐ照り付ける日差し。
汗が噴き出るくらい暑く、不快は不快だが、そこまででもない。
だって、
彼女をじろじろ見る、意味のわからん周りの
コイツらは決まって彼女に、
「もうちょっと髪伸ばして、かわいくすりゃいーのに。」
「なんだろな…惜しいよな。」
とか、戯言を抜かしてきやがる。
うっせえての。
誰も、彼女なんて知らない。興味ない。
わかってんだよ。
やわらかいラテ色のベリーショートの髪を風にくすぐられながら校門のど真ん中を堂々と通り抜ける彼女。
まさにラブコメによくある描写だが、彼女には、後ろに靡く髪も、揺れる胸元も、しなやかな身体すらない。
彼女の名は「
美少女ではあるものの、男勝りな性格からか、筋肉質な身体からか、異性の好意を寄せ付けない。
ん?見てるところが変態的だって?
知るか。あんな美少女、誰だって隅から隅まで見るだろ。
…ま、じろじろ見てる時点で、俺が嫌いなアイツらと一緒、てのはわかってんだけどな。
そんなことを思いながら、彼女…姫宮さんから見えないように、広い校門の端を通った。
そんなドドドドド陰キャな俺の名は、「
どこにでもいる、というか、日本でいちばん多い名前第一位の名前の持ち主兼、この物語の
ん?名前がダサいって?
知るか。
十六年前の親に言え。
俺の親、
「名前~?そうだっ!!日本でいちばん多い名前を付けてみましょうっ!!多いってことは、それほどいい名前ってことだものねっ!!」
という、ネーミングセンスが壊滅的な、能天気な母親により、俺(全国に約五千人以上いる「田中実」のうちの一人)が爆誕したのである。
そんな危うい母から生まれたせいか、周りより少し達観している…と思う。
知らんけど。
そんな田中実十六歳、高校二年生。
六月中旬。
初登校。
なぜか?
そんなの決まってんだろ。
新学期当日、目の前を通っていった子猫が道路に飛び出し、代わりに車に轢かれ、全治二か月の骨折。
別に、入院するほどではなかったのだが、能天気な割には心配性な母親に、病院に突っ込まれた。
てなわけで、本日、今年度初登校。
さぁ、友達はできるのか。
イメチェン同盟~強めのヒロインは嫌いですか?~ RiR @otk-writer
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