EP33:椿の咲く頃に
1928年冬。
無事に日ソ同盟を結んだスターリンはというと
「綺麗な花が咲きましたねぇ」
同盟締結やもてなしてくれたことに対する感謝の品として天皇から贈られた椿の花を見ながら、そう呟いていた。
中身が日本人なスターリンにとって、故郷の花である椿の花を見れることは嬉しかったのか....頬を緩ませながらそう呟いていた。
「えぇ、私もそう思います」
スターリンの言葉に同調するように、ガガノーヴィチは椿の花を見ながらそう言った。
「こんな花が存在していたなんて....知りませんでした」
「まぁ、この花はアジア圏の辺りが原産地なので無理もないですよ」
ガガノーヴィチの言葉に対し、そう言うスターリン。
そして、雪が少しだけ積もった椿の花を見ると
「....我々もこの花のように、忍耐強く生きねばなりませんね」
ポツリとそう呟いた。
「ところで閣下、日本のことでご報告したいことがあります」
「おや、何ですか?」
スターリンがそう言うと、ガガノーヴィチは真面目な顔をしながらこう報告した。
「閣下が日本との同盟を締結された後、日本人の子供達が閣下に対して手紙を書いたらしいのですが....いかがしましょう?」
その言葉を聞いたスターリンは目を丸くすると
「いかがするも何も....読みますが?」
ガガノーヴィチに対してそう言った。
その言葉を聞いたガガノーヴィチはやっぱりかという顔になった後、こう言った。
「分かりました。ではそうさせていただきます」
ガガノーヴィチはそう言った後、ペコリと頭を下げて椿が植えられた庭を後にした。
「.....日本の子供達から手紙、ですか」
フッと微笑みながら、そう言うスターリン。
その顔には、嬉しそうな表情が映っていた。
「それにしても....ロシアの冬は寒いですね」
日本とロシアの冬の寒さの違いを感じながら、スターリンはそう呟くと
「.......これはコタツ案件ですね」
日本人としての本能が騒いだのか、これは今すぐにでもコタツを導入しようと思ったのか、そんなことをポロッと言った。
ちょうどその時、ガガノーヴィチが急いで戻って来たかと思えば....息を切らしながらスターリンに対してこう言った。
「閣下!!今さっき部下から報告がありまして....アメリカのフレミング博士のスカウトに成功したとのことです!!」
その言葉を聞いたスターリンはニヤリと笑うと
「それは素晴らしい話ですね」
ガガノーヴィチに対して、よくやったと言わんばかりの顔でそう言った。
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