EP30:天皇とラーメン外交

スターリンは今現在、かなり緊張していた。

その理由はただ一つ。

日本の王族である天皇がソビエト共和国連邦があったからである。


「初めまして天皇陛下、お会いできて光栄です」


なのでそのスターリンの目の前には天皇が.......後の世でいうところの昭和天皇がいたため、彼は内心めちゃくちゃビビっていた。


「こちらこそ、お会いできて嬉しく思います」


天皇は頭を下げるスターリンに対してそう言った後、ニコりと笑った。

そんなスターリンと天皇の様子を見て、側近達がヒヤヒヤしたのは言うまでもない。


「ところで、スターリン閣下は日本料理が好きだとお聞きしましたが....どんなお料理が好きなのですか?」


天皇がニコニコと微笑みながらそう言うと、スターリンは


「そうですね.......やっぱりシンプルな味噌汁でしょうか?」


あっけらかんな様子でそう言った。


「おぉ!!味噌汁ですか!!味噌汁は美味しいですよね」


味噌汁という言葉を聞き、嬉しそうに反応する天皇。

そんな天皇の様子を見たスターリンはホッとしていると....天皇は彼に対し、こう言った。


「そういえば、閣下はラーメンを作るのがご趣味なのですか?」


その言葉を聞いたスターリンはビックリした顔になると


「え、えぇ、と言っても豚骨ですけどね」


天皇に向けてそう言った。


「豚骨.......?」


その言葉に対し、天皇がポカーンとしていると義一は補足するようにこう言った。


「陛下、スターリン閣下の作るラーメンは豚の骨を煮込んでスープを作るので、我々の国のラーメンとは少し違うかと」


義一がそう言うと、天皇の目はキラリと輝いたかと思えば


「それは是非とも食べてみたいですね」


ニコニコ微笑まながらスターリンに向けてそう言った。

それを聞いたスターリンはマジかと思いつつも、天皇の言葉を断るわけにはいかないと思ったのか


「....分かりました」


天皇に対してそう言った。

かくして、天皇にラーメンを振る舞うことになったスターリンはコトコトと豚骨スープを作っていたのだが.....当の天皇が隣に居たため、スターリンは内心ヒヤヒヤしながら豚骨スープを作っていた。


「お待たせしました。豚骨ラーメンです」


天皇に対してそう言った後、豚骨ラーメンを置くスターリン。

一方の天皇はそのラーメンをズルズルと啜り、スープを飲むと一言


「これはとても美味しいですね」


美味しそうな顔をしながらそう言った。

それを聞いたスターリンは内心ガッツポーズをしながら、ニコりと笑った。


「こんなに美味しいものは初めて食べました。流石は閣下ですね」

「お口にあったのなら良かったです」


こうして、スターリンのラーメンの虜になった人間がまた一人増えたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る