EP28:ラジオ体操第一
タンタタ、タタタ。
タンタタ、タタタ。
モスクワ市内が肌寒くなってきた頃、スターリン邸ではそんな軽快なメロディが流れていた。
このメロディの正体は後の世界で言うところのいわゆるラジオ体操で....スターリンはここ数ヶ月間ラジオ放送の環境整備などを起こってきた結果、ラジオは国民達の間で徐々に広まっていった。
それと同時にラジオ番組などが次々と誕生し、当然ながらラジオ体操もまた爆誕。
そして、ラジオ放送が始まってからのスターリンは毎日のようにラジオ体操をしていた。
「ふぅ、やはりラジオ体操は体に良いですね」
ラジオ体操を終え、そう呟くスターリン。
そのスターリンの周辺には側近達がおり
「閣下、今お時間よろしいでしょうか?」
その側近の一人であるガガノーヴィチはスターリンに対してそう尋ねた。
「ん、何ですか?」
「SBA(ソビエト放送協会)から『今日のレシピ』という料理番組のゲストとして出てほしいとの連絡があったのですが....いかがしましょう?」
ガガノーヴィチがそう言うと、スターリンは
「えぇ、出ますが何か?」
と言うと、ガガノーヴィチは彼がそう言うと思ったのか....スターリンに対してこう言った。
「分かりました。ではその方向性で調整します」
ガガノーヴィチはそう言った後、ペコリと頭を下げてその場から去るのと同時に別の側近がスターリンの前に現れると、彼に向けてこう言った。
「閣下、アメリカの件でご報告があります」
アメリカという言葉を聞き、ピクリと反応するスターリン。
「まさかとは思いますが.......アメリカ側がこちらにスパイを送っているのですか?」
スターリンがそう言うと別の側近はコクリと頷き、スターリンに向けてこう報告した。
「先日、秘密警察に匿名で不審人物に関する通報があったのでその不審人物を逮捕した後に尋問したところ......その不審人物は産業スパイだったことが判明しました」
産業スパイという言葉を聞き、スターリンは
「.....その不審人物にこう伝えてください。うちの技術を盗むのは良いのですが、まずはその技術を生み出す側とウィンウィンな関係性を築いてからやった方がいいと」
別の側近に対してそう言った後、こうも言った。
「それからその不審人物はアメリカに送り返してください」
「ハッ!!」
別の側近はそう言うと、ガガノーヴィチと同じようにその場から立ち去った。
「それにしても.....うちに産業スパイが来るなんて思いもしませんでしたよ」
あのアメリカが某国みたいなやり方をしようとしていることに対し、スターリンは呆れつつもそう呟いた後....自宅に入って制服に着替え、そのまま自身の職場へと向かったのだった。
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