EP24:ビルドアンドスタート
「お〜い、こっちを手伝ってくれ」
「おぅ!!分かった!!」
ウクライナという国を二分した内戦が終わった後、人々は戦いで破壊された日常を取り戻すための復興活動を開始した。
だが....ようやく自分達の国を取り戻した喜びからか、その人々の顔は喜びで満ちていた。
「にしても....アイツら、ここまで派手にやるとはなぁ」
「あぁ、そうだな」
瓦礫の山を見つめながら、そう呟くウクライナ人達。
その目には、喜びや嬉しさの他に自分達の生活を破壊したロシア・ソビエト連邦社会主義共和国に対する怒りがこもっていた。
「ま、アイツらのことを考えても仕方ないし.......とりあえず片付けるか」
しかし、怒りだけでは復興は出来ないとすぐさま思ったのか、そう呟きながら瓦礫を片付ける男達。
「そういやよ、お前はこれからどうするんだ?」
ふと、そんなことが気になったのか.......瓦礫を片付けながら、そう尋ねる男。
そんな男の問いに対し、もう一人の男は
「......とりあえず、実家のパン屋でも継ごうかな?」
瓦礫の乗った運搬車を動かしながら、そう言った。
その言葉を聞いた男はもう一人の男に対し
「んじゃ、俺も故郷に帰ろうかな」
ポツリとそんなことを呟いた。
「あ、お前も故郷に帰るのか」
「そりゃあ、内戦で親に心配をかけたからな」
男がニッと笑うと、もう一人の男にも思うところはあったのか.....笑い返した後、こう言った。
「確かに、親孝行するなら今だもんな」
そんなことを話した後、二人は瓦礫を片付けていたのだが....ふと、内戦時のとある思い出を思い出したのか、こんなことを呟いた。
「でも、アイツの漫画が読めなくなるのは寂しいな」
アイツの漫画という言葉を男が発すると、もう一人の男はその言葉の意味をすぐさま理解したのか
「分かる。アイツの書いてた漫画のおかげで頑張れたようなもんだしな」
寂しげにそう呟いた。
そんな二人に対して軍人時代の仲間が駆け寄ったかと思えば、二人に向けてこう言った。
「おいお前ら聞いたか!!グレゴリーの書いた漫画が新聞に載るんだってよ!!」
その言葉を聞いた二人は顔を見合わせると
「てことは.......アイツの漫画がこれから読めるってことか!!」
「最高じゃねぇか!!」
嬉しそうにそう言った。
「よっしゃ!!そうと決まれば明日から新聞を買わないとな!!」
「おぅ!!」
かくして、平和を取り戻したウクライナ人民共和国が漫画大国になるのはそう遠くない未来である。
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