EP22:ウクライナ内戦③

「何故だ!!何故奴らを倒せないのだ!!」


ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国の総司令部にて、そう叫ぶ司令官。

彼がそう叫ぶのも無理はなく.....何しろ、彼らの敵であるウクライナ人民共和国が激しく抵抗したため、彼らの目的であるロシア・ソビエト連邦社会主義共和国の再樹立が遠のきつつあったからである。


「おのれ.....ウクライナ人民共和国め....」


プルプルと震えながら、司令官がそう呟いた時


「し、失礼します!!」


彼の居る部屋に部下が入って来たのだが....その部下の顔はどこか青くなっていて、その部下の表情を見た司令官は唇を噛むと


「何だ!?」


部下に対してそう叫んだ。


「わ、我が軍が占拠したドネツク州が奪還されました!!」


部下がそう言うと.......司令官は目を見開いたかと思えば、こう言った。


「....何だと?」


実のところ、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国がウクライナ人民共和国側に対して内戦を仕掛けた最初の頃はドネツク州などの各州を徐々に占拠していったのだが......ソビエト共和国連邦や日本などの国がウクライナ人民共和国を支援する形でサポートし始めた結果、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国が押され始めたのが現状であった。


「.......今すぐドネツク州に兵士を送れ!!今すぐだ!!」

「は、はい!!」


司令官の言葉に対して部下はそう言った後、部屋を出ようとしたのだが.......ちょうどその時、もう一人の部下が部屋の中に入ってきたかと思えば、司令官に向けてこう報告した。


「閣下!!我々が占領している各州で反乱が起こっています!!」

「.....は?」


もう一人の部下の言葉を聞き、呆然とした様子でそう呟く司令官。


「反乱....だと?」


男自身、反乱が起こるとは思ってなかったのか....もう一人の部下に詰め寄ると


「すぐにでも鎮圧させろ!!」


彼に向けてそう叫んだ。


「で、ですが、それでは兵士の数が....」

「構わん!!」


部下達に対し、切羽詰まった様子でそう言う司令官。

男自身、この戦いが徐々にウクライナ人民共和国に傾きつつあることを何となく察していた。

だが.....そのことを認めることは彼にとって、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国の敗北を意味していたため、何としてでもウクライナ人民共和国に勝ちたいのが本音であった。


「クソ....クソクソクソ!!」


そもそも、こんなことになったのはスターリンのせいだ。

男はそう思いながら、部下を部屋の外に追い出そうとしたのだが......その瞬間、どこからか銃の音が響くのと同時に司令官の頭を弾丸が貫いた。


「「.......え?」」


そして、一瞬の出来事だったからか.......最初は呆然としていたものの、自分達のリーダーが殺されたという事実を理解したのか、慌てた様子で部屋を出ていった。

この出来事の後、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国があっという間に瓦解し、ウクライナ人民共和国がこの内戦に勝利したのは言うまでもない。

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