EP17:ソビエト風うどん
スターリンと田中義一が会談という名の食事会をした後、ソビエト共和国連邦には多くの日本人がやって来るようになった。
その理由はただ一つ。
本場のアニメ産業や自動車産業などを学び、日本に持ち帰るためである。
そのためか、ソビエト国内に日本人が続々とやって来るのと同時に日本食の店も次々と出店した結果
「おっちゃん、ビーフストロガノフうどん二つ」
いつの間にかロシア料理と日本料理が合体したハイブリッド料理が爆誕していた。
「いや〜.......しかし、こっちでもうどんが食べられるとは思わなかったな」
「あぁ、そうだな」
ハイブリッド料理ならぬハイブリッドうどんを提供しているうどん屋にて、そんな会話をする男達。
日本人がソビエトに来て以降、安くて美味しいうどんは日本人だけではなくモスクワ市民にも人気で、ソビエト風にアレンジしたうどんを提供する店も少なくなかった。
もちろん、そのソビエト風うどんは日本人にもソビエト人にも美味しく食べれるような味付けだったので、日本人やソビエト人からはとても好評だったのである。
「へい、ビーフストロガノフうどんお待ち!!」
「おっ!!キタキタ!!」
カウンターに置かれたビーフストロガノフが乗ったうどんを嬉々とした表情で見つめながらそう言った後、そのうどんを食べる男達。
「うん!!美味い!!」
「ビーフストロガノフうどんって、肉うどんみたいな感じで美味いよな〜」
そんなことを言いながら、男達は熱々のうどんを啜ると
「いつかお袋がソビエトに来たら、この店のうどんを食わせてやりてぇな」
「だな」
故郷のことを思い出しながら、しみじみとそう言った。
そんな男達を尻目に、三人組の男達がうどん屋に入店したのだが
「おいアレクセイ、それは本当なのか?」
「あぁ、本当だとも」
その男達は店の隅の席に座ったかと思えば....店内にいる人々が気にしない程度の小さな声で話し始めた。
「そのことを閣下は知っているのか?」
「いや、知らないと思うが.......もうそろそろ耳には届くはずだ」
「まぁ、この国に関わることはすぐさま閣下の耳に入るからな」
そう言った後、男達はお茶を飲むと
「しかし.....奴らは本当に仕掛けるつもりなのか?」
「恐らく、閣下がウクライナから手を引いたことを根に持っているんだろう。奴らならやりかねん」
「そうなる前に、早く手を打たなければ....」
そんなことを話しつつうどんを注文し、何事もなかったかのように食べた後、店内を後にしたのだった。
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