EP15:急報

さて、スターリンのちょっとした改革によってアニメ産業だけではなく自動車産業が活気付いた結果、当時としては画期的なデザインの車が続々と発表されただけではなく、いつの間にか道路整備なども進んだため、ソビエト共和国連邦内の自動車メーカーはフォード社並みに発展し、メキメキと成長していっていた。

そんな時.....スターリンの耳にとある情報が入るのだった。


「え?日本から首相が来るんですか?」


割烹着姿でラーメン用の豚骨スープを作りながら、側近であるガガノーヴィチに対してその情報の信憑性を尋ねるスターリン。


「あ、は、はい。確かにそう聞きました」


ガガノーヴィチがそう言うと、スターリンは


「.......まさかあちら側から来るとは思いませんでした」


豚骨スープを試飲した後、そう言った。


「えぇ、私もです」


ガガノーヴィチがそう言うと....スターリンはしばらく考えた後、こう言った。


「であれば.......もてなしの料理を考えないといけませんねぇ」

「....え?」


ウキウキとしたスターリンの言葉に対し、思わずそう言葉を漏らすガガノーヴィチ。

そして、そこはせめて緊張を持てよと彼が思ったのは言うまでもない。


「あ、あのですね。日本から来るとはいえ、相手は仮にも首相ですよ!!」

「ソビエトにお客さんが来るのなら、おもてなしは必須ですからね」


その言葉に対し、そこじゃねぇよと内心ツッコミを入れるガガノーヴィチ。


「でも相手は本場の日本人だから、味付けも日本人好みに....」

「話聞いてます?」


おもてなしのことしか考えてないスターリンを見たガガノーヴィチはこう思った。

コイツ、ガチ日本料理を振る舞う気だ。

そんなことをガガノーヴィチが思っていることを尻目に、当のスターリンは日本の首相に対して何を振る舞おうかとワクワクウキウキとした様子で考えていた。


「しかし....何でまた日本の首相がここに?」

「恐らく、アニメ産業や自動車産業に関することで来訪するのかもしれませんね」


ガガノーヴィチがそう言うと、納得した表情になるスターリン。


「ところで.......何故豚の骨を煮ているのですか?」

「何故って、美味しいからに決まってるじゃないですか」


スターリンはそう言った後、豚骨を煮ている鍋の方を向くと


「あと二時間ぐらい煮たら完成ですね」


仁王立ちの状態でそう言った。


「か、閣下.......まさかとは思いますけど、豚の骨を煮るためだけにずっとここにいるのですか?」


スターリンに対し、ガガノーヴィチがそう尋ねると.....スターリンはあっけらかんな様子でこう答えた。


「あ、はい。そうですよ」


その言葉を聞いたガガノーヴィチは、日本との外交が本当に上手くいくのかと心配になるのだった。

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